第5章 去る者 ※
部屋の中にはベッドが軋む音と、二人分の息づかい。
時折漏れる、女の上擦った声。
「あっ…」
突かれる度快感が押し寄せ、高みに昇っていくビアンカ。
ズルズルとケニーのそれを呑み込んだビアンカの秘部からは、体液が溢れる。
深く突いたり、体位を変えてみたり。
悦楽の頂点へと導く手段は、もう知り尽くされている。
こんな風に体を重ねる夜は、果たして何度目になるのか。
いつもこの行為に耽るだけ。
互いに「好き」も「愛してる」も口にしたことはない。
その代わりに、名前を呼ぶ。
「ケニー、あっ…、ケニー…っ」
「…っ…、ビアンカ…っ…」
こんなに切ない気持ちで交わるのは初めて。
きっとこれは、最後の――――。
「ああぁぁっ…ッ…」
そう思った瞬間、恍惚が支配する。
目の前が真っ白になり、腹の奥がキュウッと狭くなる感覚。
震えるビアンカを見下ろしながら、ケニーはその腹の上に全てを吐き出した。