• テキストサイズ

ただの女、男二人【進撃の巨人】

第4章 誰がために




「リヴァイ、お前最近男らしくなってきたよな」


「…何だよ、急に。クソでも詰まってんのか?」


「いいや。至って快腸だ」


リヴァイはゲンナリした顔でケニーを見遣った。
それに気づいたケニーは酒の入ったグラスを置き、呆れたようにヤレヤレ、とこぼす。

「お前がクソとか言い出したんだろ?下品な奴め」

「下品なのはあんたの影響だ」

「そうかい。そりゃ悪かったな」

悪いなどとはこれっぽっちも思っていないだろう。
口調や思考、ナイフの使い方。
いいも悪いも、ケニーに影響されたものは数多くある。


「今思えば、ここに来たばっかの時はまだ素直で可愛いげがあったよなぁ」

「…覚えてねぇよ」

「チョロチョロ俺の後ろくっついて来てよぉ」

要領を得ないケニーの話に、不可解な顔をするリヴァイ。

「……どうした?もうすぐ死んじまうのか?」

「はぁ?ピンピンしてるぜ?」

「じゃあ何で年寄りみてぇに思い出話してんだ?」

「そりゃあ、お前から見たら年食ってるかもしんねぇけどよ」

と、半分笑いながらまた酒を煽る。
目の前にあるのは、この数年で確実に変化した、意思の強くなった瞳。



二人で過ごすこの部屋は、あの頃より少し狭くなった。
着ている服は大きくなり、物言いたげな目でコートの裾を引っ張られることもなくなった。
家でケニーの帰りを待つだけだった子どもが、今では自分で金を稼いでくる。


そしていつしかビアンカを守るかのように、彼女のそばにいる。


それはリヴァイを少しずつ大人へと変えた、五年という歳月の仕業。



「少し飲み過ぎたのかもしんねぇな」



「ザルのくせに、何言ってんだ」



呆れたように言うリヴァイに、ケニーはまた笑う。


/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp