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ただの女、男二人【進撃の巨人】

第4章 誰がために


翌日、仕事だと言って出掛けるケニーを見送った後、リヴァイはビアンカの家を訪れた。
部屋に入ると、床にたらいが置かれている。
火にかけられた鍋からは、グツグツと湯が沸騰する音。


「風呂か?」

「うん。昨日入ってないから…」

「手伝う」

「ありがとう」

リヴァイは井戸へ水を汲みに行き、それをたらいへと移す。
何度かそれを繰り返し、たらいの中に沸かした湯を足して温度を調節する。


「こんなもんでどうだ?」

たらいに手を突っ込んで尋ねれば、ビアンカも同じように手を入れて頷く。

「良さそう。ありがとう」

「じゃあ外にいる」

「うん」

ビアンカに背を向けて部屋を出ようとするリヴァイだったが、何か思い付いたようにその足を止めた。


「どうしたの?」

「手伝ってやろうか?」

「……え?」

「その手じゃ背中とか洗いにくいだろ?」


思わず固まってしまうビアンカ。
手伝うということは、リヴァイに裸を晒すということで…。
ぶんぶんと大きく首を振る。

「だ、大丈夫!自分でできる!」

「何で遠慮する?」

「何でって…だって…」

「恥ずかしいのか?」

真っ直ぐな瞳でそんなことを言われてしまえば、ビアンカの方が意識し過ぎなのではないかと思えてくる。

しかし、どう考えてみても恥ずかしいものは恥ずかしい。


「そりゃそうよ…。リヴァイは男なんだから…」


ゴニョゴニョと小さな声で答えるビアンカに、リヴァイは満足げに口の端を上げた。


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