第1章 地下街の三人
確かにリヴァイは今まで守られていた。
優しい母親に。母親の働く娼館にいる、大勢の大人たちに。
グッと拳を握り締めてケニーの背中を追う。
先程絡まれた路地の先に酒場が見えた。
「誰がお前をドブネズミにしたかは見当がついてる。ちょっとばかり粋がったご近所さんだ。金を手に入れたら来る場所はここしかねぇよ」
大股で酒場まで向かうとケニーは勢いよくその扉を開いた。
「見ーつけた」
入口脇のテーブル席に、そいつらはいた。
グラスに一杯ずつの酒と小さな肉が置かれている。
男二人組は、近づいてくるケニーを不審に思い眉を寄せた。
「何だ?」
「ちょっくらお前さんたちに用があってなぁ。リヴァイ、こいつらだろ?」
入口に立ち尽くすリヴァイに顔だけを向け、尋ねる。
リヴァイが頷くのを確かめるなり、ケニーは男の胸ぐらを掴んだ。
「うっ、ぐ…!おぃ、何を…っ!!」
「よくもうちの子を痛い目に遭わせてくれたなぁ?」
掴んだ手はそのままに酒場から出ると、外の硬い地面へと男を放り投げてしまう。
慌てるもう一人も同じようにして、酒場の外に引きずり出す。
「女や子どもしか狙わない卑怯な野郎共だって有名だぜ、小悪党?普段はナイフでお仕置きなんだがな、今日はリヴァイにわかるように体術にしといてやるよ」
「くっ…、てめぇ…!!」
男たちは一瞬怯みながらも、ケニーに掴みかかろうと突進してくる。