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【マギ】天使の加護

第1章 バルバッド編


とりあえず室内に入ろうとシンドバッドに誘われ、アンジュは渋々それに従った。中は流石高級ホテルといったところか、装飾は何処も彼処も煌びやかでなんとも豪華である。一つの部屋に案内されると、大きすぎない机の周りを囲むソファがあった。ソファに身を沈めると柔らかい羽毛クッションがアンジュを優しく抱きしめる。

「さてと、これより霧の団を捕まえる作戦会議を始める。」

シンドバッドが言った。突然の話題にアンジュは何の事かわからなかったが、とりあえずこの場は静かに話の内容を聞いた方が良いだろうと判断したようで、アラジン達と同じように話を続けるジャーファルを見る。

「霧の団が狙うのは豪商アルジャリス。もしくは、貴族のハルドゥーヴ。どちらかの屋敷かと思われます」
「何故言いきれる?」
「こちらから国軍の動きに関する偽情報を流しました」

流石はシンドバッドの付き人としてバルバッドまで足を運んでいる男だ。抜け目が無い。先手必勝とはよく言ったもので、既に手を打っていたジャーファルにアンジュは素直に感心した。
それにしても霧の団とは一体何なのだろうか。確かにアンジュはここ数年天界からバルバッドの様子を詳しく眺めることが無かった。最後に見たのは確か、ラシッド・サルージャが亡くなった頃。三人の王子を残して彼が亡くなった、そんな年だった気がする。
今現在のバルバッドは、彼が王座を務めていた時より荒れてしまっているそんな印象だ。

「霧の団には、政府内部にも神拝がいるようなので」
「政府内にもか…」
「うん」

なんとなく話の流れ的にこういう事なのだろう。恐らく霧の団という組織は、金持ち貴族の屋敷を襲って強奪を繰り返している悪党集団である。しかし民衆や一部の政府内部には神拝がいるらしい。よって、霧の団は金持ちからしか奪わない、むしろ奪った金を貧しい民衆に配っている。そんなところだろう。

「想像以上に霧の団は儀族として人気が高まっているようです」

やはりそうだ。彼らは儀族。アンジュは面倒臭い話を聞いてしまったと、少し後悔した。
この流れで最後まで話を聞くと、確実にアンジュも手伝わなければならなくなる。かといってここから今すぐ逃げることは出来ないだろう。現に、アンジュの隣にいるシンドバッドの無言の圧力がアンジュにとって凄く痛いのであった。
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