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【マギ】天使の加護

第1章 バルバッド編


「よっと…」

できる限り人目のつかない場所に降り立ったアンジュ。その証拠に、見渡す限りの青い海である。
島と言えるには動植物が全くない岩山の上に、今アンジュはいる。
久しぶりの飛行はとても楽しかったのだろう。15年ぶりの地上は本当に心地良いといった風に、アンジュは澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。上空から見ているだけではわからない生命の動き。アンジュの周りに存在しているルフ達も、どこか活発だ。

「さてと、アラジン君探しに励みますか!」

天界から気配を察知し、転送魔法を使えば速かったのだろうが、そんな事をしなくても巡り会える運命にいるのだ。余程のことが無い限り天界から降りられない身のアンジュ。この瞬間、一分一秒を楽しまなくては勿体が無いのだ。
ザパッ!と何かが水面から飛び出してきた。
いつの間にかアンジュを囲んでいた青い生物。可愛らしい外見が人間にも人気なイルカだ。いきなり現れたアンジュに興味を持ったのか、地上の生物の中でも頭の良い生物に分類される彼等はアンジュを見た。

「やぁイルカさん!こんにちはー!良かったら、ここから一番近くにある、人間の住む島へと案内してくれないかな?」
「きゅきゅー!」

恐らく良いという返事だろう。敵意のない、むしろ好意的にイルカ達がアンジュの傍へと泳いでくる。その背中にゆっくりと乗れば、イルカ達は南東を目指して泳ぎ出した。

「あっはは!気持ちいいね!」

邪魔になるだろうとしまい込んだ翼のあった背中に、眩しい太陽の光が降り注ぐ。暑い炎天下ではこの海水の冷たさが、アンジュにとってとても気持ちが良かった。



・・・・・・



「ありがとうイルカさん達!町の中心から離れた所に来てくれるなんて、感謝するよ!」

お礼に水魔法で海水を操れば、それに乗せられてやってきた沢山の小魚がイルカの上に落ちた。
ありったけの食事をプレゼントしてくれたアンジュに、イルカ達はもう一声鳴くと、小魚を目指して海へと帰っていった。今頃、催眠でふらふらしている小魚をお腹いっぱいに食べている頃だろう。
旅は道ずれ、一期一会とはよく言ったものだ。
くしゅん!と、くしゃみが1つ。

「アラジンを探す…前に、服を乾かそう」

天使と言えど、流石に海水を含んだ衣服を体に纏うのは寒いのであった。
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