第2章 我々の日々。ダイジェスト版
三人目の仲間は、短刀の今剣。四人目は前田藤四郎。五人目に薬研藤四郎が来て、この日の出陣は終わった。
前田藤四郎と、薬研藤四郎は五虎退の兄弟刀であり、五虎退とスキンシップを取る様子が見られた。
話している内容をそれとなく聞いたところ、どうやら出陣について話をしているようだった。五虎退を宥め励ます二人の様子は、人の兄弟と何一つ変わりのないもので、彼等に家族愛というものは、どうやら元から無ではないらしい。
その夜、山姥切に出陣について尋ねてみた。
彼は、写しであることをよく口にするが、途中で私にその事を謝ってきたので、改善の兆しはある。
私は、彼に気にするなと声をかけた。らしく生きればいい。そう付け足すと、彼は自分らしさが解らないらしく悩んでいた。
問題である審神者と刀剣のあり方については、一旦刀が一通り集まってから取り組むことにする。
先ずは、彼等が人に慣れていく様を見ることにした。
それと同時に、彼等の接触にも気を回すようにした。互いの意見を交わしあう彼等は、ぶつかったり和解したりを繰り返しながら、徐々に相互理解を深めていき、最近では今剣を初めとした短刀達が私にその日の出来事を聞かせてくれるようになった。
短刀がほぼ集まり、脇差しの堀川国広、鯰尾藤四郎が本丸に来た頃。
今剣と乱藤四郎の喧嘩があった。
喧嘩の種は、出陣における事であった。
私は、彼等の話を聞いて思わず感動した。
小さな子供に見えても、神様であり戦闘に立つ魂。話される言葉は一つ一つが現実味を帯び、声の高さには合わない重さと鋭さがあった。
私は、二人を思いきり抱き締めて心のままにそれを褒めた。
始め二人は唖然としていたが、やがて堪えきれないというように笑い出して、喧嘩は和解へと転がった。
短刀と脇差しが集まり、所謂初期刀組が揃った頃、審神者の階級を決めるという案が回ってきた。
私はこの時、階級を気にすることは論外だと思った。現状、これは必要ない。もう少し先で気にすることだと、刀剣達にも説明をした。
それから、大太刀が鍛刀で来て、太刀が揃い、所謂レア刀というものも来た。
そして、これより、問題の解消を始める。