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【刀剣乱舞】檜扇の伝記

第4章 極


極が発見されたと同時に、新たな情報が転がり込んできた。
新たな場所『江戸・新橋』だ。
今は見回り部隊が主にウロウロしているらしく、奴等の殲滅が現在の第一任務だ。
私は、早速第一部隊を送り込むことにした。そうしなければ政府が煩いからだ。
それに………誰であろうとこの世界の時間を明け渡すわけにはいかない。

……………………そう思ったのは数時間前のことだ。
私は、静かに卓上のチョコレートを口に含んだ。
甘いチョコレートが、口内でとけていく。
甘ったるさのオンパレードを食して、目の前の問題に取り組む。
現在、手入れ部屋は二部屋が使用中。
新たな江戸新橋。我が第一部隊は少し危なっかしく勝利を持ち帰ってきた。
彼等の目前に立ち塞がった歴史修正主義者達は、確かに前までとは違った。
(初戦ということもあったのは事実だけれど、私のあの子達で中傷三人か)
私自身が甘く見ていたことは確かに事実だが、それでも強い。霊力を注げばもっと楽に攻略できるだろうが、それでは他の審神者には厳しい場面も多い。
『新たな歴史修正主義者の攻略方法』そう書かれた紙をぼんやりと見つめる。
政府から出された宿題はあまりに戦場を嘗めすぎていた。
流石馬鹿の集まり。烏合の衆。
「簡単にはいかないから、命を懸けてるんだろうに」
第一、極を発見した天才様はどうしたんだ。
私は少し拗ねたような気持ちで内心呟いた。半分本気半分冗談のその言葉には、対した意味などない。
結局、よい案の出なかった私の頭は、気分転換もかねて手入れ中の彼等を見に行く事にした。

「やぁ、江雪。私だけれど入ってもいいかい?」
江雪の返事を聞いて私は襖を開ける。
室内には、江雪だけでなく小夜と宗三も居た。
仲のよい兄弟らしく、二人は兄を見に来たのだろう。
「今日はすまなかった。私の考え不足で君を傷つけてしまった。」
言いながら、私は江雪の側、小夜の隣に座った。
「……………いいえ。主のせいではありませんよ。原因があるとすれば、私の方です。私が、戦うことを嫌悪する心があったのが戦場ではいけなかったのです。」
江雪は目を伏せながら言った。
「それも一理はあるだろうね。」
「……………はい。」
「それでも、戦ってくれてありがとう。君のおかげで守られた幸福があった」
「……………誰かを幸福にすることはできずとも、守ることはできますか。」
「あぁ。できるさ。」
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