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【刀剣乱舞】檜扇の伝記

第3章 演練


「事の重大さ?」
私が聞いてみると、彼はキッと目をつり上げてまるでキツネみたいになってから、喋りだした。
だが、私は気づいた。
「そうだ。歴史修正主義者と戦うことはこの世界の全てを守ることだ。お前達にその覚悟があるか?俺達が失敗すれば次に傷つくのは何も知らない者たちなのだぞ。呑気な女子供にそれが出来るか!」
悠々と話す彼の目が輝いていることに。
怒鳴り散らす彼は、確かに心からこの世界を守ろうとしているらしい。その全てを疑う程私も馬鹿じゃあない。
私は、彼になんと返すべきか考えた。
考えて、隣の娘が今度は爆発した。
「あるに決まってるでしょう!!私が何のためにここに居ると思ってるの!第一、女子供ですって!?貴方のように怒鳴り散らすだけなら、男である意味もないと思うわ!」
私は、これには驚いてしまった。彼女は、怒鳴るタイプに見えなかったからだ。
男は娘の返事に、ニヤリと口角をあげる。
「そこまで言うのなら、実力でそれを示してもらおうか。そして、俺が怒鳴り散らすだけの男かどうか確認すればいい。」
「えぇ、そうさせてもらうわ。掛かってきなさい。」
売り言葉に買い言葉。あっという間に喧嘩が出来上がった。
(これで、勝負のあとに握手とかしたらぶちギレるぞ)
面白いが、参った。

その後、やってきた四人目は出来上がった戦場に肩を震わせる普通の青年であった。
どうしてこうなったのだと嘆く青年に、私はそっと声をかける。
「頑張れ」
「高みの見物ですか!?」

そうして、演練は開幕した。
演練の対戦形式は勝ち越し形式。
勝てば残り、負ければ引く。最高で三連続の戦闘。
だが、先行は前記の二人が自ら引き受けたので、私達は最高でも二連戦ですむ。
「ッチェ、俺達が三連しても良かったんだけどな」
和泉守が唇を尖らせて言った。
「そうだねぇ、けれど二連戦でも戦闘は戦闘。慣れていない私達は寧ろ助かったと謙虚に思うくらいでいいのさ。」
「それに、見ているだけでも学ぶことはあるだろう。」私はそう付け足して、彼等二人を品定めするように見た。
「男の方は、三日月宗近を隊長にしての、江雪、長谷部、燭台切、蛍丸、太郎太刀、ね」
「娘の方は、一期一振を隊長、鶯丸、子狐丸、石切丸、御手杵。」
なんとコメントすれば良いのか。一先ず、勝ちは見えた。
私がそう言うと和泉守が口火を切った。
「じゃあ、俺はあの男に五千円」
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