第5章 第四章 ドッペルゲンガーという概念は我々にはない
ワラワラと集まってきている歴史修正主義者。塀を登り屋敷へと浸入しようとする連中を数十名の刀剣男士が食い止めている。
辺りを見回すと此方に歩いてくる歴史修正主義者の一群が見えた。
「山の上から歩いてきてる………」
と、いうことは、時空ゲートはそちらの方向に有るということだ。
再び戦場を見る。歴史修正主義者の群れは此方に比べて数が多く、更にここから数か増えるとなれば、圧倒的に此方が不利だ。
時空ゲートを塞ぐことさえ出来れば、少なくとも連中はこれ以上増えはしない。
(問題はどうやって時空ゲートを閉じるかなんだけどな)
取り敢えず、様子だけでも見に行った方が良いのでは無いだろうか。
どの道、戦慣れした刀剣達をこれ程押している歴史修正主義者達だ。戦闘において彼岸花に出来ることは少ない。
(だけど………)
それでも、共に戦うべきなのだろうか。
しかし、出てくる元を潰さないとこのままでは押される一方でもある。
「……………………」
行こう。どちらが正しいかなど解りはしないが、出来ることをしよう。
歴史修正主義者と戦う歌仙や鳴狐、愛染を見る。
夜目についての知識はあるので、獅子王が居ないことも、燭台切が立ち尽くしていた訳も、理解していた。
「……………ごめん」
もしかしたら、自分はとんでもない間違いを犯しているのかもしれない。
彼岸花は道に下りると、山を走った。
時空ゲートを閉じる術など知らないし、そもそも時空ゲートが此方に有るのかすら解っていないかもしれない。
けれど、この先に何かがあると思う、それだけで彼岸花は走った。
それが間違いなのか正解なのか。答えは、走っているこの先にある。
山を登り始めて、十分と数分後。
すれ違う歴史修正主義者は、彼岸花を見つけると武器を振るってきたが、それを避けて進む。
何故か異様に止めようとする奴も居たが、それは逆に彼岸花をこの先へと行かせる理由となった。
ーーーそして、彼岸花は出会う。
木々が無理矢理薙ぎ倒され、円形に開けたら空間。
歴史修正主義者達が闇よりその姿を産み出す光景に。
………何だこれ。
彼岸花の呟きは声になら無いものであった。
(歴史修正主義者って、闇から出てくるものなの?)
いいや。違う。
彼岸花は気がついた。開けた空間の一番奥。そこにいる、人影に。
「…………」