• テキストサイズ

〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第5章 第四章 ドッペルゲンガーという概念は我々にはない


太郎太刀から逃げるように屋敷を回り、反対側の塀から屋敷へと帰った彼岸花。
だが、彼女の頭にあるのは、先程の光景。
言葉にして、説明すれば大した出来事でもない。少し変な刀剣男士に会っただけとも言える。
だが、あれはそんなレベルの話じゃない。
こんのすけが言っていたように霊力が有るからだろうか、悟ってしまった背筋が凍りつくような感覚は、この世の何かを越えていた。
(もしかして、太郎太刀は闇落ちしかけてる?)
考えてみるが、何か違う気がした。
「……………………」
屋敷の中をゆっくりと進む。
先程太郎太刀が手を付いていた塀の所まで来るとそこには誰も居なかった。
取り敢えず、ホッとする彼岸花。
けれどここに居ないという事は、既に道場に帰ったのだろうか。
道場に帰って、太郎太刀は皆にどの様な反応をされているのか。
纏った妙な空気はとても隠せるものじゃないし、あの目だって一目見ればおかしいと思われるだろう。
(いや、それとも太郎太刀は前からあぁだったのか?)
あり得ない事ではない。何せ、彼岸花はほとんどの刀剣男子と一対一で話したことも無いのだから。
取り敢えず、明日の稽古の時に歌仙にでも聞いてみよう。
思考をまとめながら庭を見る彼岸花だが、嫌な予感が拭いきれなかった。
そして、事は起こる。

その夜、彼岸花は妙な音に起こされた。
「…………………金属音?」
小さく呟く。
聞こえてくる妙な音は金属音だ。誰かが戦っているのか?そう思いながら起き上がる。
部屋から出て、音のする方へと廊下を歩く。
金属音は庭からしているみたいだ。しかも、太郎太刀が居た辺り。
「……………」
様々な不安を抱えながら歩くと、庭に続く縁側に誰かが刀を持って立っていた。
(あれは、燭台切?)
何をしているのだろうか。
彼は、彼岸花がもう見えるところまで来ているというのに、視線を前方から逸らすこともしない。
何か、そんなに大変なことが起こっているのだろうか。
廊下を歩いて、燭台切の後ろを通過し、縁側に立つ。
戦闘が起こっていたのは庭ではなく塀の外。
塀が邪魔でよく見えないが、あれは………歴史修正主義者?
「!!」
気付くと共に、彼岸花は走り出した。
そのまま素足で庭を踏み締め、塀を登ると、頭上よりその戦いを確認する。
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp