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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第5章 第四章 ドッペルゲンガーという概念は我々にはない


だが、どれだけ待っても返事はなかった。
(こりゃ、ワンクッション入れた方がいいかな)
そう思い、彼岸花は立ち上がった。
燭台切が顔をあげるが、それには応えない。
「まぁ、まだ私の事なんて解らないだろうね。だから、今日のところはここまでにしよう。私もやることがあるんでね」
言って、彼岸花は部屋を出た。
廊下に踏み込んだ瞬間、言い表せない寂しさが胸を締め付けたが、いけない。これは、彼の問題だ。
彼がどっちに転んだとしても、転ぶまでが問題で彼岸花に言えることは何もなかった。
(にしても、歌仙さんがこっちに転んでくれたとは………)
いいや、それもそうかもしれない。彼は、現在の自分に絶望していた。底まで落ちたら、後は這い上がるだけだ。
覚悟を決めてくれた事を彼岸花はこれでも、表情筋が緩みまくるほど喜んでいるし、今すぐにでも歌仙へと礼を言いたいくらいだ。
「他の皆にもお礼を言わないとなー」
恐いだろうに。味方をしてくれて嬉しいと思う卑怯な自分がいる。調子には乗れないが、得意気にはなりたい。得意の矛盾戦法である。
「さーて、今日も元気に畑へと繰り出しますか!」
ルンルンで彼岸花は庭へと出る。

「へー。じゃあ、昨日だけで三時間も議論してたんだ。」
「えぇ、そうなのですよぉ。お二人とも一向に引こうとせず激しい言い合いが続いていたのです!」
「ほぉ。そりゃ、まぁ………」
(燭台切も心配になるわな)
三時間は長い。そう思いながら、彼岸花は止まらないお供の話を聞いていた。
現在は畑仕事も終わって、鳴狐(のお供)と話をしていた。
「この私めも歌仙殿の援護をしたのですよ!」
「そうなんだ。ありがとね。」
言いながらお供の頭を撫でてやる。すると、気持ちいいのか目を閉じた。ぐうかわ。
「ところで、歌仙殿は結局何を悩んでいたのですか?………あぁ!言えないのなら良いのですぞ!」
「そうだなー。まぁ、流石にプライバシーがあるからね」
「プライバシー?」
「個人情報ってこと」
「あぁ、成る程!そう言うのですね!!」
「横文字は苦手かい?」
「お恥ずかしながら。私も鳴狐も生粋の日本男子です故」
(日本男子………)
刀と狐にも言えることなのだろうか。よく解らない。
奇妙な疑問に頭を悩ませながら、彼岸花は尚もお供の話を聞くのであった。
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