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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第5章 第四章 ドッペルゲンガーという概念は我々にはない


彼岸花が維持悪く笑うと、燭台切はため息をついた。
(呑まれるな、僕)
「……………君には何としてでも聞き出さないといけないことが沢山あるからね。話といっても僕達はお喋りをしに来たんじゃないんだよ」
「じゃあ、何を聞きたいのさ」
「直球でいこう。歌仙さんや獅子王くん達と何があった?いや、皆に何をした?」
何をした、とはまた酷い言い方である。
「別に。ただ皆で畑を耕しただけだよ。」
「畑?」
「畑。野菜を作ってるんだ」
「………何のために?」
「君は野菜を部屋に飾るのか?食べるために決まっとるわ」
「いや、それはそうだけど………」
燭台切は呟いて、困ったように視線を泳がせた。
その様子はあきらかに押され気味で、彼岸花は対した相手じゃないな、と厳しい評価を下した。
「はぁ………光忠、もういい。俺が聞く」
割って入って来たのは、大倶利伽羅。
燭台切は大倶利伽羅を見るとホッと息をつき、「任せるよ」といって、後ろに引いた。
「おう。次は君か、私も暇じゃないんだけど……………」
「おい、お前の目的はなんだ」
「………目的?この本丸の改善」
「何故そんなことをしようとする」
「尋問?これ、尋問だね?」
「答えろ」
「………苦しんでいる人がいるから」
「お前には関係ないだろう。」
「うわー、君、そういう人かぁ。関係ないとか、平気で言えるんだね」
「本当の事だ。お前には関係ない。」
「そうかもね。だけど、引くつもりは無いよ。」
「何故だ」
「苦しんでいる人がいるから」
「誰の事を言っている?」
「それが解らない時点で、君には理解できないよ」
「馬鹿にしているのか………?」
「君が苦しんでいる人だよ。…………って、言えば信じる?」
「信じない。俺は、苦しんでなんかいない。こんなの、どうってこともないからな。」

「ーーーほら、気付いてない。そんな顔をするまで追い詰められてるのに」

「……………………」
怒濤の問答に終わりが来た。終わったのは、大倶利伽羅の方であった。
大倶利伽羅は珍しく目を丸くすると、口を閉ざしてしまう。
「くりちゃん…………」
燭台切が心配そうに呼び掛けるが、返事はない。
「どんな顔だ」「はっきり言うなら、何かを失った顔」
「失った………?失うものなんて、何も………」
「無いと言えますか?本心からそう言えるのなら、私は君を尊敬するよ」
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