第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
「解らないよ。そんな難しい事」
「そうか…………」
「だけどね、解らないから理解したいと思うんだ。貴方の事も、この本丸の事も。」
「……………」
雨の音が聞こえる。彼岸花は、続けた。
「きっとね、全てを理解するのは不可能なんだよ。」
「だけど、白旗上げて不可能って宣言する事をするのは卑怯だと思う。諦める前に、私は理解してあげたいと思うんだ。」
ようは精神論である。
難しい事も、暗いことも、解らないから、解らないと言いたい。正直にそう言って、その上で解りたいと思う。
矛盾してるから、迷うときが無いわけじゃない。でも、矛盾してるからこそ屁理屈だって通して済ませられる。
「きっとさ、くだらないことなんだけど、大切な事なんだよ。開き直ることも、無茶苦茶な理屈を唱えることも。魔法の言葉は『え?そんなこと言ったっけ?』だね」
「……………途中まで良いこと言ってたのに」
「良いことじゃないよ。普通の開き直りさ」
「………普通の、か」
「解るよ、貴方になら。難しい事じゃない。雨の音だって、風の音だって、一人で聞いたら恐いもんだ。だから、今日は一緒に聞こう。」
「一緒に………」
顔をあげた、歌仙に微笑んで。彼岸花は、その横に腰かけた。
雨の音が止むことなく倉の中に響いている。
「雨で、きっと畑はもっと元気になるね。乾いていた土も潤って、野菜が早く実るといいなぁ」
「………………そうだね」
「私はね、料理を食べればまた、貴方も皆も元気になると思うよ。乾いている時は、誰にだってあるから」
「……………雨がやんだら、僕らも元気になるだろうか」
「野菜に負けてなければね。」
「…………野菜に負けたら、之定の名折れだなぁ」
「そう思うんなら、頑張りなさいな」
「……………あぁ。そうする」
歌仙は呟いて、彼岸花の本体を彼岸花へと差し出して来た。
「…………すまなかったね」
「いいよ。折ったらキレたけど」
「…………料理、僕も手伝っていいかい?これでも、得意なんだ」
「あ、助かる。いやー、実は料理はこれから勉強する予定だったから。」
「………君は少し、開き直りすぎじゃないかい?」
「はははは。一理ある」
倉の中で、二人はポツポツと話をした。くだらない話も多かったけれどそれでよかった。
雷鳴が轟く。彼岸花は、顔をあげた。