第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
雨が地を叩き、雷鳴が辺りを一閃した。
少女が望んだ通り、その雨は大地を潤して野菜をすくすくと育てた。
雷の音を恐いと言う人がいる。雨のせいで外に出られないと落胆する人がいる。雨も雷も、一人で聞くには恐い日がある。
そんなとき、誰だっていい。もし、側に誰かがいてくれたら。
きっと、その音が嬉しく感じるときもあるだろう。
「ちょ、歌仙さん。リズムひでぇ。Jポップも歌えないんすか。しかもこれ、世界に一つだけの花なのに、簡単だよ?」
「馬鹿を言うんじゃない!そもそも、僕の言っている歌は句の事で、こんな支離滅裂のものじゃないんだよ!!」
「いやいや、話をそらしちゃあかんて。今問題なのは、貴方のリズム感覚の事で………」
「あー、もう!首を差し出せ!!」
「なんだその切れかた!?」
喧嘩するように言い合う声は、本人たちが思っているより、ずっと楽しげだ。
開き直れと、少女は言った。それを、青年がどう感じたかは解らない。
彼が、このあと雨が止んだときどうするのか。それも、彼だけが知っていることだ。
でも、雨は時期にやむ。青年は、答えを出さないといけない。
彼女を殺すか、彼女と共に戦うのか。
彼は、答えをもう、決めている。
少女は、それを、解っているのか。
雨の降る道を、一人の男が歩いていた。
「ただいま、帰りました」
歩いてきたそれは、新たな災厄。
少女はまだ、知らない。未来の災厄。
もしも、明日………雨の音を恐いと感じたら。
………話をしよう。どうでもいい話を。