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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊


彼岸花が台所の壁に寄りかかってぐったりとしていたら、誰かの足音が聞こえてきた。別に逃げる事でも無いので、黙って足音の主を待つ。
「………!何しているんだい。そんなところで」
「その台詞二回目だよ。歌仙さん」
「君はあまりにも愚純だからね。行動の意味が僕には解らないんだ」
※愚純【意味】………馬鹿。
「よく解らんが、失礼な」
「それで、何してるんだい」
(無視すんな)
そう思いつつ、しかしそれは口に出さず答える。
「掃除だよ。掃除。料理するって約束してたけど、台所がこんな状態だったから」
「掃除か………別にそこまで綺麗にはなっていないようだけど………?」
「よーし。賢い歌仙くん、君にはそこのごみ袋の中を覗く権利をやろう。さぁ、開けてみなさい」
「遠慮するよ。信用していない者からは何も受け取らない事にしているんだ。」
「あー、はいはい。そうですか。損するよその考え方。」
「後悔するよりは断然いいね」
「本当に?」
「もちろん。」
「悲しいなぁ。」
床の染みをみたまま、彼岸花はそう言う。
伝わらないものだ。価値観は悪い方には簡単に転がるのに、良い方にはちっとも転がらない。
「………坂を昇る球体は無いんだよ」
「なんだい、急に。」
「価値観っていうのは、球体みたいなもんなんだって。それで、良い考え方は何時だって坂の上にある。だから、人はその価値観を押していかないといけないんだって。」
「それ、誰が言っていたんだ」
「私。」
「…………………………」
「でも、雅な考え方だと思わない?」
歌仙の顔を確認すると、彼も彼岸花を見ていた。
視線が交差する瞬間。価値観は、理解し合えているだろうか?………駄目かもしれない。彼岸花は歌仙の価値観を損としか見れないから。
「君は、雅を解っていない。」
(……………今となっては、僕にも解らないけど)
歌仙は吐き捨てる様にそう言い残すと、台所を出ていってしまった。
遠ざかっていく足音を、彼岸花は黙って聞いていた。
(理解する気持ちがないと、伝わらないんだよね。互いに)
「はぁ……………手伝っていけよ」
声は誰に聞かれることもなく、宙に消えた。
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