第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
彼岸花は台所に来て愕然とした。
「…………………………ひでぇ。」
そう呟くことしか出来ない彼岸花。
この屋敷の部屋を、前に彼岸花は汚いと思った。誇りがうっすらと溜まっていたり、部屋の畳が傷ついていたり、布団が放り出されていたりしたからだ。
だか、この台所を見てその全てを訂正した。
あれはまだ、綺麗な方だったのだーーーと。
そろそろ目の前の現実に向き合おう。
台所はまるで空き巣に入られたかのような始末であった。
皿や茶碗はほとんど割られ(どう考えても意図的としか思えない)、四つある椅子の内三つは半壊、一つは全壊されている。更には、机に包丁が刺さり、食べ物の腐る臭いが何処からか漂い、床には醤油瓶が転がっていた。極めつけは、時折聞こえる音である、カサカサ、という音が何かは聞くな。折れそう。
…………醤油瓶は…考えたくないが、何かに叩きつけられたかのように壊れており、割れた箇所から醤油がこぼれ、床に染みを作っていた。
「こ、ここは地獄か………」
呟いて、彼岸花は思わず膝から崩れそうになった。
だか、それを必死に堪え、気を保ちながら台所へと踏み込む。
「わ、私は政府の打刀にして自然を愛する彼岸花!ゴ⭕ブリだろうが醤油の染みだろうが掛かってきやがれ!!いざ!」
叫んで彼女は手始めに動いているのかも解らない冷蔵庫へと向かった。
この日見た光景の残酷さを、彼岸花はまだ忘れられない。
「……………………………………………!!!!!!」※都合により音声の一部を編集しております。
「で、出やが……………!!??この…………め!嘘だろこんなところにも…………………!?……………待って、天井はまずっ………!あぁああああああ!!!…………の家庭ぃ!?」
※都合により音声の一部をカットしております。
台所は阿鼻叫喚地獄となった。
三秒ごとに吐きそうになる衝動を抑えて、込み上げてくる酸っぱいものを飲んだ。
だが、それすら気持ち悪く、まるでやつらの血を飲んだような気分だ。
棚の裏や冷蔵庫に巣食うそいつらを駆除し、腐った食べ物全てをごみ袋へと詰め込み終えた彼岸花。
その表情は例え歴戦を乗り越えた英雄でも出せない悲壮感が表れていた。
取り敢えず、残りは陶器の破片や椅子の回収、染みとりだけなのだが、頼む。休ませてくれ。あぁ、でも、気持ち悪い。