第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
「なぁ、お前ってさ本当はどっちなんだ?」
それは水やりの最中に獅子王が投げ掛けてきた問い。
「え、何?どっちって…………あー、あれだろ。その遊び知ってる。半分」
「半分!?」
「ははは。冗談だよ。女です、女」
「………………………あれ、会話成立してない?」
「え?」
獅子王が首をかしげるのを見て、彼岸花にも何かがおかしいことが解った。
「え、あれじゃないの。性別を聞くあの遊び」
「ちげぇよ。なんだその妙な遊び」
違うどころか、知らんらしい。何というジェネレーションギャップ。
「違うのか。じゃあ、どういう意味?」
「だからさ、あー……………お前、俺等の間では短刀を置いて逃げたってことになってんだよ。なんか、あの後薬研が本当は勘違いだった、って言い出したけど皆信じてないんだよなー」
「そういうことになってんのか。つくづく腹が立つな。お前ら」
「いや、待てって。俺は信じてるぜ?」
「逆に何でなんだぜー?」
巻き舌を使い某芸人風に言うと、またもや通じてないようだ。
「何でって………んー。愛染から聞いて、お前を倉庫で見たとき思ったんだよ。本当にそんなことするやつなのかな、って。」
獅子王は水やりの手を止めずに続ける。愛染は彼方で遊んでおり、此方の会話は聞いていないようだ。
「ふーん。で、今はどう思ってる?」
「わかんねーから、聞いてんだろ。」
「やってないよ。別の敵を倒しにその場を離れただけ。」
「大和守は怪我してたのに?」
「駆け寄ろうとしたら恐がられた。それで、ここにいたって何も出来ないって思ったんだよ。」
「…………………なんか、ごめんな」
「謝んな。」
虚しくなるだろ。そう内心付け足して、彼岸花も水やりの手を止めなかった。
「いや、謝るよ。俺、何にも知らないのに嫌なやつだったよな。」
先程とは違う暗い声。彼岸花は獅子王を見ようとして………止めた。獅子王は手を止めていない。なら、彼岸花も続けよう。
「…………普通はそうなるよ。二年間は長い」
「まぁな。長かった………って、今もブラック本丸なんだけどな!」
「何を元気に言うんだ。」
思わず彼岸花は笑うが、獅子王は笑わなかった。
獅子王が話した言葉をもう一度噛み締める。
彼岸花は息を吸った。
「なら、これから変えていくか」
獅子王の手が止まる。彼岸花は手を止めない。