第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
「ですが、今居る加州殿は二人目なので初期刀ではございませぬ!」
「……………………なんだと?」
とんだ爆弾が落ちてきたぞ。おい。
脳内で爆発しそうなそれを隅へと追いやり、彼岸花は聞き返した。
「二人目って、一人目はどうなったの?」
「それが………誰も知らないのです。ある日の朝、突然姿を消してしまいまして…………思えば、主殿がおかしくなったのはあの頃からでしたなぁ」
お供は遠い目でそう言うが、彼岸花はそれどころでは無かった。頭の中で何かが引っ掛かるのだ。
ーーー行方不明の初期刀、加州清光。
新たな情報を記憶に書き込む。
「そうなんだ………もしかしたら、散歩に出て熊にでもやられたのかもね。………あれ、真面目に熊がいたら恐いなんてもんじゃないな」
林を見ながら呟く。
今熊が出たら、本気で死ぬしかない。
「待てよ。そもそも熊って、刀剣食べるの?というか、肉の味わいなの?私達………」
「お、お止めください!彼岸花殿!鳴狐が恐がっております!!」
「私には君の方が震えてる様に見えるよ。」
お供を見ながら彼岸花は言う。
まぁ、真面目な話、山というのは何があってもおかしくない場所だ。前の加州清光もその餌食になったのかもしれない。熊か山かどちらの餌食かは解らないが。
「加州清光が居なくなる前は、小娘も優しかったの?」
これは単純な質問だ。実を言えば、前から気になっていた事でもある。
「優しい、とは違うかもしれません。主殿も鳴狐と一緒で人付き合いが苦手ならしく、ほとんど喋らない方でしたから」
「え、そうなの?マジかよ。想像も出来ないな」
「今は随分と変わってしまいましたからねぇ。そういえば、初期刀殿の行方についてですが、初期鍛刀の今剣殿なら何か知っているかもしれません。」
「今剣?………って、どんな子?」
「銀色の長い髪に、赤い目の方です!」
「銀髪、赤目………………や、やつか………」
「心当たりがあるのですな!」
「まぁ、うん。」
(あやつかー)
彼岸花を監視しているのは、初期鍛刀としてのプライドなのかもしれない。話を聞きたいところだが、徹底して関わって来ないのを見ると警戒心は人一倍強そうだ。何より、捕まらん。
厄介だ。
頭を悩ませる彼岸花は、思わずため息をついたのであった。