第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
わざわざ術をかけてまで閉じたいもの………。
「…………………………………………………………あ、上から見れるぞ」
よくある袋とじを立ち読みするあの手だ。
本を上から覗き、微妙に紙を曲げて何となく中を見る。
「ふふふ。見える、見えるぞ。まだまだ甘いな。術をかける前に、ボンドで四方を止めた方が効果的だね。」
悪人面で笑いながら、中を見る。
「えっと、何々。歴史修正主義者の亜種………………………亜種?」
ジンオウガの話か?いや、何でやねん。
流石にモンハンはない。
「亜種って、亜種か。何それ、色違いでも出るの?」
そんな優しい話じゃないと解ってはいるのに、呟かずにはいられないこの性分。
「うぅーん?よく見えねぇ。もう少し下が見たい。」
お前はグラビア雑誌を見るおっさんか。みたいな突っ込みを自分でいれて、彼岸花は諦めることにした。
見たいのは山々だが、中々に紐の位置がやらしい。これではもう、下を見ることは出来ないだろう。
ファインダーを仕舞い、彼岸花は倉の掃除を始めることにした。
「ほら見て、私をー♪目を逸らさないでー♪黒い鉄格子の中で、わたーしは、生まれてきたんだー♪」
歌いながら床の埃を集める。因みに、棚の上の埃は既に落としてある。
掃除道具は一階に合ったのを使わせてもらいながら、てきぱきと作業を進めた。
(思えば、よくこんな所で本読んでたな。私)
「黒い雨ー♪降らせこの空ー♪わたーしはのぞまれないもの♪ひび割れたノイローゼ、愛す同罪の傍観者たーちに♪」
歌う彼女は、まだ気がついていなかった。
……………………窓より自分を見つめる四つの瞳に。
「こんなもんか。って、うわ。もう真っ暗」
今度灯りになるものを持ってこないとなー、なんて言いながら、掃除道具を片付ける。
外に出るともう空は群青色に染まっていて、池も同じような色をしていた。
「今日は三日月か」
空に輝くその黄金は美しく、同じ名前をもった青年も綺麗だったな、等とどうでも良いことを考える。
「そろそろ全員の顔と名前覚える努力しないとな。」
咄嗟の時に出ないとカッコ悪い。
階段を上ろうと踵を返したとき、遠くの木の上で動く影があった。
「…………木の上だぞ、おい」
動く影の正体は知っている。一期一振とタイマンした時にも居た、あの短刀だ。銀髪で赤い目の。
監視しているのか、ただ見ているだけなのか。