第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
「ーーー万が一、刀剣より制約が断ち切られた場合、何があってもそいつを本丸より出してはいけない。かといって、刀剣を普通に折ってもいけない。その際には、言霊で縛り、以下の方法で刀剣を火へと還すべし。」
そう書かれた下には、その方法とやらが書かれている。
制約を絶ちきる方法は無いのか?そう思いつつ、ページを捲った。
だが、そこで見た文章に彼岸花の目が見開かれる。
「………………おいおい。嘘だろ」
呟いた声が震えている。それは、彼岸花にとって絶望的な事実であった。
(刀剣が一方的に制約を破った場合、その魂は闇へと落ちていくだろう)
それはつまりーーー闇落ち。
制約を破る方法は解らないまでも、重要な事実だ。
彼岸花は決して闇落ちがしたい訳じゃない。寧ろ、命はかけられても魂はかけられない。それなのに、闇落ちか。
闇落ちした刀剣の話は、政府で何度か聞いたことがある。ブラック本丸の中には刀剣が下克上を達成した例もあるそうだ。
闇落ちした者が一人出ると、その波動に影響されて他の不安定な奴等も一気に落ちるのだとか。
彼岸花が目指しているのは、あくまで何時か皆で花見に行けるような本丸だ。
闇落ちは、ある意味その目標から最も遠い手段と言えるだろう。
「となると、論外だなぁ」
これは振り出しに戻ってしまったのだろうか。
本を戻し、他の本の背表紙を確認しながら、彼岸花は呟いた。
(いや、振り出しではない。)
そうだ。初日に比べれば色々なことが変わった。悪い方にもいい方にも。
全てが無意味な訳じゃない。
「………………………そうだよね」
囁くように言って、彼岸花は最後にファインダーを手に取った。
本棚の端に一つだけあったファインダーである。青色の異質なそれを捲っていくと、どうやら政府からの書類が仕舞われているようだ。
パラパラと見る限り結構大切な書類もあるのだが、前の人はもう審神者を辞めてしまったのだろうか。
「…………刀剣の病の話、新しい刀剣の話、政府からの連絡、演練の話、歴史修正主義者の話。」
大切そうな書類はあるが、特に為になりそうな物はない。
彼岸花はラスト数ページを捲ろうとした。
「ん?」
だが、そのラスト数ページは何故か開けないようになっていた。右端を赤い紐で更に閉じられており、もしかしなくとも術がかかっているのか。