第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
対して重くない葛籠と如雨露を抱えて立ち上がる。
外に出て空気を吸えば、やはり中は汚かったのだと再確認した。
「うわっ。服が真っ黒。」
「本当ですね。彼岸花様は内番服を持ってはいないのですか?」
「内番服?替えの服ってこと?それなら、持ってないなぁ。本当ににこの身一つです」
彼岸花が答えるとこんのすけが困ったように言った。
「そうですか。これから、仕事をしていくのなら、違う服に替えた方がいいかもしれません。…………というよりも、彼岸花様は服を何処で選択しているのですか?してないにしては綺麗過ぎますし………」
「あぁ、これ?これなら、普通に着る前になんかして綺麗にしてるよ」
「なんかとは、何ですか」
こんのすけに聞き返されるが、彼岸花としても上手く説明が出来ない。
倉を出て、階段を上りながら彼岸花は言葉を紡いだ。
「えっとー、何て言うんだろ。なんか、美味しくなーれ☆ならぬ、綺麗になーれ☆みたいな」
「時々貴方の言葉は私の理解を越えていて…………もう一度言っていただけますか」
「中々Sの素質あるよ、こんのすけ。うーん、だからさ、綺麗になれと思ったら綺麗になるんだよ。それだけで、理由も理屈も解んないしなぁ」
彼岸花は困ったと呟くが、こんのすけの返答は意外なものであった。
「それは………彼岸花様には霊力があるのですか?」
「霊力って、あれやろ。術を発動させるやつ。安倍晴明みたいな」
「えぇ。そうです。………けれど、貴方は自由に霊力を使えるのですね」
妙なこんのすけの言い回しに彼岸花は疑問を持った。
「普通は使えないの?幽霊切ったり出来る人もいるのに?」
「それはまた、違うのです。確かに、神刀と呼ばれる方々や、一部の刀剣男士は魔を祓う力があります。けれど、それは彼等が生まれ持った素質の様なもので、霊力とは違います」
「なら、逆に霊力って?」
魔を祓ったりするのでないなら、何に使う?小娘の様な独裁政治をするため?
「霊力は、素質でも才能でもない元より誰もが所有する力の源のようなものです。」
「霊力がない存在などは何処にもいません。ーーーただしそれは、生きている存在の話です。」
「貴方様を含めて、刀剣の皆様は霊力を持ってはいてもそれを自由に使うことは出来ません。制限されているからです」