第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
長い間誰も向かっていなかったからだろう、道とも思えない草むらを掻き分けて歩く。
「あのさ、もしやとは思うんだけど倉も長い間使われてないんだよね?」
「はい。少なくとも、一年と半年は使われておりません」
「嘘だろ。そりゃ、誇りだらけだろうなぁ」
「先に、倉の掃除をなさいますか?」
「………………いや。それは、また今度。小娘の気が変わらない内に、早く畑を安定できる所までもっていかないと。」
恵、と呼ぶ気にはなれず何時も通りそう言った。
こんのすけの話を裏返すと、一年と半年前は使われていたということだが、小娘がそう指示していたのだろうか。
何だか想像ができないが、小娘にしても最初から理不尽な訳ではなかったのかもしれない。
新たな可能性に頭を悩ませる彼岸花。
足元を気にしつつ、彼女は歩いた。
開けた場所に出る。
「この先です。彼岸花様、もう少しですよ」
こんのすけの言葉に頷いて、彼岸花は目の前の階段を見た。
下り階段は、石畳で出来ており、お陰で草ははえていなかった。
しかし、階段か。今はいいが、後で農具を出すときは苦労しそうだ。
思いつつ、階段へと近付いて彼岸花は目を見開いた。
「わぁ…………凄い」
それは、眼下にキラキラと日光を反射して光る水面があったからだ。
池の側に、現在の目的地でもある倉が建っている。少し古びてボロくなっているその倉さえ、今は幻想のように水面と調和し、素直に彼岸花へと感動を与えてくれた。
「あー。綺麗だね」
「私もそう思います。」
「なんか、良いもの見たなぁ。幸せ」
こういう時こそ笑わんでどうすると、彼岸花は笑った。
ニコニコとする彼女は、今日もご機嫌。
近付いて見ようと、彼岸花は階段を下り始めた。
一歩一歩下りるごとに、水面が近付いてくる。
このまま助走をつけて飛び込んでみたい衝動に駆られるが、必死に抑えてあくまで上品に。
階段を下り終えて、池の側の柵に手をかけると、彼岸花は辺りを見渡した。
池の広さ自体はそこまででもない小さなものだが、下を見る限り中々に深そ、う……………………………目の前を何かが通りすぎた。
「………………っは!!こんのすけぇ!!!」
やっちまった!と、思いつつ柵の下から手を伸ばす。
そりゃあ、頭の上に乗っていたんですから、下を向けばお察しですよね。反省。