第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
昨日一期一振に切られた袖。
そこから覗く腕に、唯一の装飾品がぶら下がっているではないか。
そう思いつつ、何でできているのか解らない数珠を手首より抜き去った。
オレンジ色の数珠玉を見ながら、彼岸花はそれを差し出した。
「これは?よく解んないけど、私の唯一の装飾品だから、レアだぜ」
気に入ってもらえるだろうか。
小娘は何を言うこともなく、じっと数珠を見ている。
暫くして、数珠の輪を反対側から掴むと、軽くそれを引っ張った。
ここで抵抗するのも何なので、彼岸花も素直に渡してやる。
「レア、ね。……………まぁ、いいわ。勝手にしなさいよ」
「やった!種は?」
「倉に行って適当に使いなさいよ。」
(倉か…………)「了解。」
「じゃあ、私はこれで。おやすみ。小娘」
「……………………………」
無視かよ。
彼岸花は、小娘へと背中を向けると襖手をかけた。
「……………………み」
「うん?」
「恵よ、私の名前。」
「…………………神隠しとかなら出来ねぇよ?」
そんな神様みたいなこと出来るわけがない。
「馬鹿じゃないの?そういう意味じゃない。あんたに小娘呼ばわりされるのは癪だからね。恵様と呼びなさい」
「えぇ。まぁ、気が向いたらね。気が向いたら」
お断りです。と思いつついったが、小娘は無言であった。
(だけど、何故急に名前なんか………)
微妙に警戒心がとけた?………なんだろうか、嫌な予感がする。
首をかしげつつ、彼岸花は部屋を後にする。
彼岸花が去ったのち、数珠は屑籠へと投げ捨てられた。
「おっ、こんのすけー!こんばんわー!!」
「彼岸花様!こんばんわ」
「へへへ。つっかまえたー。」
「なっ、あなた様はまた………」
「ふふふ。あー、癒されるー。」
こんのすけに頬擦りをしながら、明日の事を考える。
「あ、そうだわ。こんのすけ、私、明日から畑に出るで」
ふと呟いた台詞に、こんのすけは大きき反応した。
「本当ですか!!それは何よりです!」
「でしょ。更には、協力者も確保した」
「え…………大丈夫ですか?中々危険な者が多いのですが…………」
「大丈夫だとも。話をした感じ、なんとかなりそう。」
「そうですか…………」
「心配?」
「………いえ、私は彼岸花様を信じます。何か、手伝えることがあれば、何時でもお呼びください」
「ありがとう」