第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
ーーー本丸、審神者室前
「小娘!入るぞ!」
大声で呼び掛け、襖を開ける。
「あ……………」
だが、開けた先の景色に彼岸花は目を見開いた。
「「……………………」」
室内には小娘だけでなくもう一人、青年がいたのだ。
二人とも服は着ているが、どう見てもそういう所である。
気まずい沈黙に彼岸花は言葉を詰まらせるが、いけないいけない。
「小娘。話がある」
「はぁ?……………ッチ、もういい。帰りなさい」
「……………………解った」
小娘に言われて俯く青年。
風変わりな布を被った青年は、彼岸花の横を抜けると部屋を出ていってしまった。
(今の、声…………初日に止めようとしてくれた…………)
彼だったのか。今頃それに気がついた。
礼を言おうかとも思ったが、部屋を出て追いかけるわけにもいかない。彼岸花は、首を振った。
「で?何よ。事と次第によっては、解ってんでしょうね」
「解ってる。…………畑を耕す許可が欲しい。」
「……………………………はぁ?」
彼岸花の顔を見上げる小娘。その顔は、驚きの一色だ。
彼岸花は知らないが、彼女のこんな顔は滅多に見れるものではない。
「畑を耕して、野菜を育てたいんだ」
「何のために?」
「食べるために。」
「……………」
「…………………………」
「……………………………………………許可したとして、見返りは?」
「……………は?見返り?」
今度は彼岸花が驚く番であった。
何を言い出すんだこいつは。そう思いつつ、襖を後ろ手に閉める。
「そう。見返り。誰かにものを頼むなら当たり前でしょ」
「お前にも美味しいご飯を提供してやる。」
「足りないわ」
「…………………何だと。」
足りない、と言われても彼岸花は何も持たない文無しだ。
(本体、は駄目だよなぁ。……………えぇー)
というより、彼岸花は許可だけでなく種も求めないといけないので、引き渡すものは更に増えそうだ。
「どうしようもないから、先に言っておくと野菜の種も譲ってください」
「なら、もっと多くを寄越しなさい」
「ですよね。どうしたもんかな………………………あ」
そこで、彼岸花は一つ思い付いた。