第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
チャンスは一度きり。彼岸花は、息を吸った。
「私は、この本丸を変えたい」
それは、本音と建て前が入り交じった言葉。
愛染は、彼岸花の言葉に驚いたようだが、歌仙は顔色ひとつ変えなかった。
まるで、彼岸花がこう言い出すのを解っていたかの様だ。
「変えたいんだ。もう、誰も苦しまなくてもいい様に。」
「…………上部だけの言葉に流されるつもりはないよ。言うだけにしても、君の言葉は軽い。」
「信頼出来ないって意味?なら、簡単だ。信じて」
「だから……………」
「怖いんですか。信じるのが」
「………………………」
無言は肯定。彼岸花は続ける。
「だけどね、信じても大丈夫っ、なんて証拠は何処にもないんだよ。まぁ、それでも敢えて言うのなら……」
彼岸花は自身を指差した。
「私が証拠だ。」
「?どういうことだい」
「私自身が証拠なんだよ。信じるも信じないも、話す前から決められて堪るか。変えたいって思いが、零では無いんでしょう?なら、私に付き合ってみてもいいんじゃないかな。私は、手始めに畑を耕す。それで、野菜を作るんだ。美味しいご飯、食べたいとは思わんかね」
「…………………………」
無言。
心臓がバクバクと音を立てる。さて、どちらに転ぶか。
「………………………………な……」
「え?」
歌仙が口を開いていないのにも関わらず、聞こえた声。
それはつまり、もう一人の少年が話したということで………。
彼岸花は愛染を見た。
「旨いもん食えば、蛍も国行も元気になるかな………」
早口で捲し立てられた言葉。
一瞬、意味が理解出来ず呆けてしまったが、今のは、つまり…………。
「な、なるに決まってるだろう!君が育てた野菜なら尚更ね!!」
愛染が、彼岸花の顔を見上げる。
彼岸花は頷いて、肯定を表した。
「なら、手伝おうかな。早く二人に元気になって欲しいからな」
優しい愛染の言葉と、眩しい笑顔。あぁ、やっぱり彼はいい子だ。
正直、蛍と国行が誰かは解らないが、こんなにいい子が大事にする相手だ。いい人なのだろう。
そうと決まれば、協力者の誕生である。こんのすけに報告せねば。
「…………………待ってくれ、愛染。いいのかい?」
「歌仙………ごめん。だけど、俺、二人に元気になって貰いてぇよ。このままなんて、絶対に嫌だ」
「……………………」