第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
大和守と目が合う。
彼は、その顔に心底軽蔑するような色を浮かべると、口を開いた。
「あのさ、何処までついてくる気か知らないけど、この先には通さないよ。」
「え、何故?道場に入るのに許可証でも要るんですか」
彼岸花が首をかしげて尋ねると、彼の顔は、更にこわくなった。
「何それ。惚けてるの?やめてよ。……………一応言っておくけど、道場では僕達が寝泊まりしてるんだから。」
「ど、道場で寝泊まり………?」
彼岸花は頭に鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。
その衝撃で色々と疑問が解決する。道理で本丸内から声がしないわけだ。小娘の独裁下だからというより、居ないんじゃ声がするわけもない。
ついでに、異様な噂拡散スピードにも合点がついた。
彼岸花が納得していると、今度は加州清光が口を開いた。
「というかさー。聞いてるよね?こんのすけから。知らないふりして来るなんて…………やっぱり、いい根性してるよ」
聞いてません。
そう言う暇もなく、畳み掛けるように大和守が続けた。
「ま、そりゃ、怪我人も短刀も置いて逃げる臆病者の卑怯者だからね。何?今度は誰かに媚でも売りに来た?」
「い、言いたい放題じゃないか。あのね、私は逃げてない。他の槍とバトルしに行ってたんだよ。今だって、道場で鍛練しようと思っただけで、寝床なんて初めて聞いたわ」
「へー?それ、一体誰なら信じるんだろ。言い訳にしても定番過ぎじゃない?」
大和守の言葉は冷たく、とりつく島もない。
言いたいことは山ほどあるのだが、何処から切り崩していこうか考えている間に、事は起こった。
「……………煩い。何騒いでるのよ。ゴミ。」
絶対零度の声。大和守と加州の顔が凍った。
彼岸花は声の方を見る。
廊下の先。歩いてくる人影が見えた。
「小娘。まーた、お前か」
「…………調子に乗ってんじゃねーよ。卑怯者さん」
「お前にだけは言われたくない言葉。私は、逃げてもいないし、何時だって自分に誇れる生き方をしてますー!」
「それこそ調子に乗んな。あと、私の前で二度と勝手に発言するな」
「嫌だ。好きでもない奴の命令なんか、誰が聞くもんか」
「好きとか嫌いとか、そんな気色の悪いこと気にしてるの?その時点であんたなんかお察しね。ゴミの分際で選り好みしてんじゃねーよ。従え」
「断る。」