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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第3章 第二章 変化を求める、カメレオン


槍七体も地獄だとは思ったが、これもこれでひどい光景である。
「というより、逃げてきた奴がいたんだ」
………他の刀剣達は大丈夫だろうか。辺りを見るが、刀の残骸はない。折れた仲間を持って逃げた可能性もあるが、どちらかと言えば、こいつをこんなにする余裕はあったようなので、平気だと思いたい。
何にせよ、
「早く帰らないと」
こんのすけも待っているだろう。

ーーー本丸、門にて。

歌いながら帰ってきた彼岸花。
だが、帰ってきた彼女を迎えたのはこんのすけでも主でもない。
「人は愛を紡ぎながら歴史を作るー♪女神なんてなれないま………ま………………………」
「お帰りなさいませ」
水色頭の御兄様だ。
「た、ただいま」
「…………………」
「………………………」
「………………………………」
沈黙。それしかない。
どちらも何も話さないし、誰も入ってこない為、沈黙が破られることもない。
(な、何なんだ)
「あのー?何ですか。お帰りなさいませとか言う割には歓迎されてる感じがないんすけど。」
「おや、訳は私より聞かずとも見当がついているはずです。生きて帰って来たことを後悔してください。」
そういって、刀に手を当てられる。彼岸花も、今度こそ刀に手を当て構えた。
「………………待てよ、争う理由がない。」
だが、直ぐに重要な事に気がつく。そう、争う理由がないのだ。
見たところ、この御兄様は話が出来そうである。刀を抜く前に言葉を交えないと。
「争う理由がない?よく仰る。全ては弟たちより聞きました。ーーーお覚悟」
一期一会…………もとい、一期一振が刀の束に手を当てた瞬間ーーー彼岸花の世界が加速した。
まさに、一瞬。………彼岸花の服の袖が落ちた。
それは、彼岸花が咄嗟に頭を庇うべく腕を出したのが原因である。………だが、出さなければ首が飛んでいた。
居合い。
一秒にも満たない奇跡。
ヒラヒラと、視界を覆っていた袖が落ちたことで、暖簾をくぐった時のように、相手の様子が見える。一期一振は、剃らすことなく彼岸花を見ていた。
「………素晴らしい腕前だ」
感想のように呟くと、一応礼が返ってきた。
「弟達を守るため、鍛えた腕です。披露する機会があって、本当に、喜ばしい事ですな」
そうは言うが一期は笑っていない。
彼岸花にとっての延長戦が始まった。
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