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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第10章 第九章 七面鳥の呪いですか?いいえ、七面の祝福ですよ


小屋が見えてくる。追っ手は居なかった。
彼岸花と鶴丸は小屋に転がり込むと、肩で息をしながら、それぞれ今の情報を整理していた。
うん、と頷ける事じゃなかった。出来れば、全力で否定したいような事態だ。
「…………………」
鶴丸が立ち上がり、奥の壁まで歩いていく。
そしてそのまま壁に背を預けると、彼岸花と向き合うように腰を下ろした。
「……………………なぁ、君。君は今、どう思っている。」
シンプルでアバウトな問。
彼岸花は、ありのままを伝える。
「なんか、信じられない気持ちですね」
「俺もだ。」
不謹慎な事かもしれないが、鶴丸は笑ってそう言ってくれた。
「……………一体、俺はどうしたんだろうな」
「……………………すみませんね。私には鶴丸さんにしか見えないので何とも」
彼岸花の言葉に鶴丸は若干目を丸くして、それから俯いてしまった。
「…………………でも、君に見えている俺が、俺とは限らないだろう」
「…………………」
そんなことない、と言えるほど現実は甘くないし、また同時に、摩訶不思議にも満ち溢れていた。
鶴丸の言うことを彼岸花なりに、噛み砕いて考えてみる。
そして覚束ない口調で、彼岸花は話始めるのであった。
「……………………鶴丸さんに見えている私だって、私じゃないかもしれません」
彼岸花は言った。
「私が見ている私と、鶴丸さんが見ている私。きっとそれは、同じじゃない」
でも、それは、当たり前のことだ。
「……………だけど、私は、私です。」
きっぱりと、彼岸花は断言する。
鶴丸が僅かに肩を震わせた。
「私は、他の九十九人の私じゃない。今、ここにいる私は、私だけの私で、私なんです」
ゲシュタルト崩壊でもしてしまいそうな、言葉の羅列。
言っていることは、平凡で、何てことない事だけれど、彼岸花はそれでいいと思う。
だってこれは、当然のことなのだから。
「鶴丸さん、貴方が、自分をわからずに苦しむのなら、そんな苦しんでいる貴方は、貴方なんですよ。他の鶴丸国永じゃない、ましてや化け物でもない。」
彼岸花は立ち上がって、俯く鶴丸に歩み寄った。
そしてその肩を掴んで、続ける。
「わからなくなったのなら、聞いてください。何度でも、私が貴方に言います。鶴丸さんは、鶴丸さんだって」
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