• テキストサイズ

〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第10章 第九章 七面鳥の呪いですか?いいえ、七面の祝福ですよ


そんなこんなで、彼岸花と鶴丸は町のなかを彷徨き始めた。
「雨でも人が多いね。こんなに人がいるの初めて見たよ」
キョロキョロと首を動かして、辺りに視線を向けながら彼岸花は言った。
鶴丸はそんな彼岸花の少し後ろを歩いている。
「初めてって、君……………そうか、作られたばかりなんだったか。」
鶴丸はしみじみと言って、彼岸花と同じく辺りを見回した。
「そうなんですよ、作られたばかりだから何もかもが珍しいんです」
「不思議なもんだな。俺と君はこうやって普通に話しているのに、世界を見てきた時間はこうも違う」
「そうですね。」
彼岸花は頷いた。
「………君も大変だな。産まれてきて早々にこんな目に遭うとは」
「いやー、寧ろこんな経験滅多にできませんから。ポジティブに考えてます」
これは彼岸花の本心である。
この本丸に来たことを、彼岸花は後悔なんてしていない。そしてこの先もきっと、後悔なんてしない。
「それに、良いことだってあったんですよ」
「……………そうか。なら、俺から言うことはないな」
彼岸花が言葉を返そうとした時、ふと彼岸花はあるものを見つけた。
「あ、見てください鶴丸さん!」
「なんだ、どうした?…………って、あれは………」
彼岸花が、指差した先を見て、鶴丸も声をあげる。
「敵の短刀です」
一言、彼岸花はそう言った。
二人の視線の先、人の流れを越えた先、そこに歴史修正主義者の短刀を発見した。
「相手は気付いてないな……………君、一旦物陰に………………あれ、居ない。」

「死ねぇ!おっとさんの仇ぃ!!」

敵の短刀に一撃喰らわせた挙げ句、死にかけたそいつを捕らえた彼岸花。
その光景は、鶴丸の中の少女のイメージと共に、何かを変えた。
(……………………なんだか、見た目に騙された気がする)
己もまたギャップの塊であることを棚にあげて、鶴丸はそう思うしかなかった。
彼岸花が短刀を片手に戻ってくる。
「ほらよ、無事に持ってきたぜボス。」
「え、あ、う、うん。……………………君、案外………いや、何でもない」
「?取り敢えず、捕まえたからこいつに色々聞いてみましょうか」
「………………………いや、そもそもそいつは喋るのか?」
残った自我で尋ねてみるが彼岸花から返事はなかった。
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp