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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第10章 第九章 七面鳥の呪いですか?いいえ、七面の祝福ですよ


「……………………お、おうふ」
かろうじて声を出してはみたものの、明らかに震えている。
というのも、鶴丸国永の本体が原因であった(当然だが)。
鶴丸国永を持っている彼岸花の右手。
その握り拳が黒く変色しているのだ。………鶴丸国永を持っていることによって。
鶴丸国永が纏う黒い靄のような何か。それは現在、彼岸花の腕にじわじわと上がってきている。
変色が進むにつれて、最初に感じていた重さはおろか、刀自体の重さがなくなっていくようだった。
………まるで、自分の腕と同化するように。
己の腕を常人が重いと感じる事がないように、この刀………否、この靄は彼岸花を取り込みつつあるのだ。
変色が肘まで来たところで、彼岸花はハッとした。
「あ、あぶねぇ。あまりの事態に放心しとった」
呟いて、鶴丸(人体)の腰に下げられていた鞘を手に取る。
一か八か、刀を戻してみると、一気に刀本来の重さが彼岸花の手に伝わってきた。
そして、靄もまたすっと引いていった。
「………………………………」
彼岸花は、倒れている鶴丸を見下ろした。
予期せず知ってしまった鶴丸の秘密。
詳しいことは、まだ、眠っている彼の胸の内にあった。













「……………………………う、っあ。…………………?」
魘されていた鶴丸の声が、唐突にきれた。
彼岸花が見ると、鶴丸の瞳が天井を見ていた。
「……………………おーい、聞こえてますか?」
彼岸花が話しかけると鶴丸は目を見開いて、ガバッと起き上がった。
「………………………………………俺、は」
呆然と聞いてくる鶴丸に、彼岸花は首をふって答える。
「やっぱし覚えてないよね。………操られてたんだから」
「あぁ。…………………………いや、待て。何故、その事を?」
口調こそ落ち着いてはいるが、震える声音で鶴丸は尋ねてくる。
彼岸花が鶴丸の腕を見ると、鶴丸もまた自身の腕を見下ろす。
「手袋と羽織………」
「私が預かってるよ。刀と一緒に」
質素な部屋の隅を彼岸花は指差す。
そしてそれから、鶴丸の腕を見た。
その、変色しきった腕を。
「状況を説明する。静かに聞いて」
そして彼岸花は話し始めた。
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