• テキストサイズ

〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第9章 月蝕の三日月。命のない罪。つまりは矛盾


『じ、じゃあ、約束。また、一緒に××を見ようね』
『あぁ、約束だ。忘れるなよーーー主』
『三日月も、忘れないでね』











三日月は、動かなくなった少女の胸から刀を抜き、踵を返した。
頭上を見上げると、天井の木目が見え、三日月は少し考える。
「もっと、高いところに行こう。」
誰にでもなく呟いて、扉から出ていく。
炎は、扉のすぐ外にまで迫っていた。
だが、関係ない。
三日月が考えると、炎は引き、そして更に上へと向かうための階段も現れた。
ここは三日月の夢だ。三日月にどうにもならないことなどない。
夢というのは、寂しいものであった。
階段を上りはじめると、不意に残してきた娘のことが気になった。
一度だけ振り返る。しかし、誰がいるわけもない。
それでいい。
階段を上って、上って。
三日月はやっと、見にこれたのであった。
あの、月を。

「懐かしいな。」
約束したのであったな。
約束した。主である娘と。
「そうだった。お前は、落ち込んでいたのだった。」
審神者としての自信が何時までも持てず、落ち込んでいた娘。
彼女に月を見ようと半ば強引に誘ったのは、あの頃の自分。
連れ出して、月を見て。
そして、約束した。
「………………………………まぁ、もう守られる事はないがな」
あの人の子にたいして、最早感情と呼べる感情など持ってはいない。
何をしたところで、あの頃には戻れないのだ。
ならば自分は、もう、帰る意味もない。
「最後に殺してから、眠りたかったのだがな」
少しだけ、残念だ。
あの人の子がつくる未来に、最早期待などしない。
裏切った奴の事など、覚えていても仕方がない。
もう、一人でだって月は見れる。
だから、そこに、誰も要らない。
「………………………………………………」
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp