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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第9章 月蝕の三日月。命のない罪。つまりは矛盾


「話を聞いていなかったのかな。助けるんだよ、三日月を。」
「ふんっ、この現状に追い込んだ奴の言葉とは思えんな。」
「それだって、主を助けるためにやったことだ。それとも何か、お前は主を見殺しにしてもよかったと?」
彼岸花は高圧的に言い返した。
長谷部は、その言葉に少し笑って、そう、笑って、口を開いた。
「答える必要はないな」
「……………………………わかった。それじゃあ、最後の意思確認だ。君は、三日月を助けたいと思っているの?」
今度の質問には、長谷部も笑わなかった。
「当たり前だ。」
「だったら、手を離せ。」
「それは断る。お前を信用などしていないからな」
「強情なやつだなぁ!いい加減にしろよ!」
思わず怒鳴るが、それでも長谷部の態度は変わらない。
「お前が、今すぐ三日月を折る可能性だってある。可能性があるのなら、俺はお前に何を譲るつもりもない」
「……………………………………………あるわけないだろ。そんな可能性」
彼岸花は、長谷部を睨んで言った。
「可能性、可能性、可能性。そんなに可能性が好きなら、どうして今までお前はなにもしてこなかったんだ」
「なんの話だ」
「悪い方ばかりを捉えて、何一つ上手くいきやしないと決めつけて。何時もそうやって怯えてるんだ」
「俺が、いつ怯えたと?」
「いつもだよ。」
彼岸花は言い切った。
「何時もそうやって、悪い方しか見てないんだ。何一つ、今を変えることもしないで」
「………………………………お前に、何がわかる」
ここに来て、何度も言われた言葉だった。
彼岸花の心に、何度も落ちてきた言葉だ。
「わかるものか。」
彼岸花は、何度も続いてきた会話のキャッチボールに、そろそろ終止符を打つことにした。
「わからないさ。貴方のことも、他の誰のことも。…………………だけど、それの何が悪い。わからないから、挑戦するんじゃない。」
わかったって、挑戦するさ。
「可能性があろうとなかろうと。やってやるんだって、決めてるんだ。そうしないと、何時か泣くことしかできなくなる」
後悔はしない。
「貴方は今の自分を、本当に誇れますか?いいや、愛せますか?」

「私は、愛せる。自分のことも、世界のことも。………なにも知らないだけなら、もう下を見るのはやめろ。」

「上を見る度胸がないのなら、もう可能性を否定するな!!」
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