第9章 月蝕の三日月。命のない罪。つまりは矛盾
「ふーむ」
言いながら、彼岸花は首を捻った。赤い紐が彼岸花の手の中でくるくると回る。
……………そして、その時彼岸花に電気が走った。
赤い紐は術で取れない。ならば………
「太郎さん、この背表紙の方!お願いします」
「?切れ、ということでしょうか」
彼岸花が頷くと、なんの迷いもなく背表紙の部分が両断された。
「おぉ、成る程。これなら読める」
石切丸の言葉通り、背表紙の方から読めるようになった。
「これで万事解決ですね」
彼岸花は得意になって言った。
そんなわけで読めるようになったファインダーを捲りながら、彼岸花達は色々と話していた。
「亜種、この間君達が倒したという奴だね」
石切丸が言った。
「正確には、逃がしちゃったんですけどね」
「あぁ、そういえばそうだったか。それにしても、飛んでいるのにどうやって倒したんだい?」
「あれ、岩融さんから聞いてないんですか。まず私が岩融さんの数珠で敵の翼を縛ってですね、それから岩融さんが細切りにしたんです。」
彼岸花は誉を話すように饒舌になって話した。
「…………………………」
話を聞いたあとの二人が無言だった事については触れないでおく。悲しくなるから。
「しかし、細切りにされても復活するとは………もし、また合間見える機械があれば気を付けた方がいいですね。」
「正直、悔しいから何とか倒したいんだけど、どうしたもんかな」
「細切りにした肉体を二つに別けて、袋にでも入れるのはどうでしょうか」
「成る程!名案だね、太郎さん!」
彼岸花は指をならして言った。
その様子を見ていた石切丸が、ひとつ咳払いをした。
「ほら、それはいいから二人とも。夢に入る術を探そう。」
「あ、そうでした。」
うっかりと呟いて、彼岸花はファインダーのページを捲る。
だが、続くページも流石、前変態審神者が持つだけあって役に立ちそうなものがなかった。
だか、暫くして彼岸花はそう下した己の結論を覆すこととなった。
「!これじゃないかい?」
石切丸がとあるページの一部分を指で示す。
彼岸花と太郎太刀が覗きこむと、そこには……………
「夢に干渉する方法、ど真ん中過ぎて恐いくらいだけど、これですね」
夢に干渉する方法、そう書かれたページを彼岸花達は読み進めた。