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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第9章 月蝕の三日月。命のない罪。つまりは矛盾


天下五剣を蹴り飛ばした件の少女は、気絶した敵を前に息を吐いた。
カラン、と音をたてて少女の手から刀が落とされる。
振り返った彼女は、先ず自らの主である娘に声をかけた。
「小娘。」
一回。
「小娘。」
二回。
「小娘。」
三回目。それでようやく娘は顔をあげた。
「小娘、手入れ部屋を開けろ。文句は言わせない」
娘はなにも言わずに立ち上がった。
そして間もなく、獅子王及び怪我をおった刀剣達の手入れが始まった。






「そうか。部屋に集めてしていたことはAV的な事じゃなくて、よりひどい虐待だった訳か」
「すみません。私の調査不足でした」
こんのすけの謝罪に彼岸花は首を振って、いいのだと言った。
「……………小娘に会いに行くよ」
彼岸花は言った。
「……………解りました」
こんのすけも頷いた。
彼岸花には、この時点で予感的な考えがあった。
此度の事件。確かに、小娘は傷ついたであろうが、お陰でよいきっかけになったのも事実である。
話をするのなら、今しかない。
彼岸花は立ち上がって、言葉をひとつ、ふたつ頭に並べた。






「小娘。私だ、入るよ」
止める声はなかった。
襖を開けて、部屋にはいる。
小娘は、座卓の前で座っていた。
「……………………………………なにしに来たのよ」
「いい気味だって、言いにきた」
「……………………………帰れ」
「嘘です。うっそ。……………馬鹿野郎って説教しにきたんだよ」
「……………………………帰れ」
彼岸花はその場に座った。
「……………正直さ、殺されても仕方なかったよ。自業自得でっせお嬢さん」
「煩いんだよ。だったらなんだ」
「酷いこと、沢山したね。誰かを苦しめ続けてきたね」
「黙れ。」
彼岸花は続けた。
「そういうことを続けてきて、貴方は何が救われていたんだろう。自分だけが不幸なつもりですか?」
「………………………うるさい。煩いんだよ、黙れって、言ってるだろ!!」
小娘が顔をあげてゴミ箱を投げてきた。
彼岸花はそれを避けず、頭にゴミ箱が当たった。
此方をにらむ小娘の目には涙があった。
「………………………忘れるなよ」
彼岸花は言った。
「獅子王は、お前を守ったんだ」
ここは、一つの分岐点だった。
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