第9章 月蝕の三日月。命のない罪。つまりは矛盾
大間抜け。大馬鹿野郎。意気地無しの自分愛好家め。
どれだけ己を罵っても、変わるものなんてなかった。
後悔した。追いかけなかったことを。
後悔している。
何故、なにも言えなかったの。
自分が可愛かったんだろ?……………その通りだ。
優しくされて、見方が増えて、それで自分は腑抜けになるのか。
言いたいこと、言わなくちゃいけないこと。沢山あった筈なのに。
やらなくちゃいけないこと。今だって増えていくばかりなのに。
ーーー辛い思いをする誰かを助けたい
それは、何故?
ーーー自分が苦しい側だったならきっと助けを求めるから
だけど、助けるにはどうすればいいの。
(何を伝えられたら、誰かを助けられるの)
ーーー本当に助けてほしいのは誰?
………誰?
私は一体、どんな答えを求めているのだろう。
納得したいのは誰だ。
答えにすがりたいのは、誰だよ。
助けたいなんて、傲慢なことを言って。自分の姿すら見えてねーのか。
俯くと、弱い弱い自分の足が見えた。
掌をみる。
刀を握って戦う手。
でも、誰かを引き留める事はできなかった。
このまま、なのだろうか。
このまま、また誰かを幸せにはできないままなのだろうか。
「………………………」