第8章 第七章 饅頭ならばつぶ餡派、咲くのなら花の下
「さて、貴方が知りたい事を先に伺いましょうか」
「うはー、高そうな部屋。やっぱり政府って無駄に金持ち」
「そんな政府の扉を貴方はどれだけ壊したと思っているんです?」
「あ、私は私の事とこむす………恵の過去が知りたいです。」
「………貴方のことはいいとして、審神者の過去?そんなこと、知ってどうするんです」
男の質問に彼岸花はニヤリと笑った。
「内緒ですよ。今更、貴方達が聞くことじゃない。」
彼岸花の回答に男は眼鏡の奥の目を輝かせた。
「刀の墓場を、貴方は知っていますか」
「?刀の墓場」
急になんだ。そう思いながらも彼岸花は聞き返す。
男は、適当に持ってきた缶コーヒーを飲みながら言う。
「僕が貴方の侵入に気づけたのは、地下にあったセンサーのお陰です。地下にはね、寸分の隙もなくセンサーが張り巡らされているんですよ。」
「え、な、何故に」
そんなに大切なものあったか?なんて思いながら言う。
「政府の地下。最下層には一つの時空ゲートがある。その時空ゲートの先こそが」
「刀の墓場。………刀の墓場とは」
刀に墓場があるものなのだろうか。
いや、あったとしてそこに眠っているのはなに?
「刀の墓場とは、刀の分霊が最後にもどり、再びめぐる仕組みの事を指します。」
「………つまり、生まれ変わる前に戻る場所ってことか」
「そう。輪廻転生を基とした刀剣男士の根元。」
「ほー。……………で、そこが何なんです?」
刀の墓場は解った。
しかし、それがなんだというのか。
「言っときますけどね、私は政府の見学に来たんじゃないんですよ。舐めてるとほんまどつくぞ自分。」
なぜか後半片言の関西弁?の様になりながら彼岸花は男を見た。
「知ってますよ。ただ、そこには貴方の大切な物もあるということです」
「あ、気付いた。お前みたいな眼鏡キャラが嫌いなんだ私。」
「独り言を言っていると聞き逃しますよ………いいですか、刀の墓場にある刀剣の根元というのは、ほとんどが別にある本体ではなく、特殊な術をかけられた刀身を指しています。」
男はそこで缶コーヒーを一度飲み、続けた。
彼岸花は、飲めないコーヒーを持て余しながら聞いている。
「ですが、中には霊体が不安定な為に本体を使っている刀もある。貴方は、後者です」
「だけど私の本体というのは………」
「だから、それがあるんです。そこに」