第8章 第七章 饅頭ならばつぶ餡派、咲くのなら花の下
地下の道をしばらく歩いていると、上階から微かに足音が聞こえてきた。
「審神者達か。」
そう言えば、余談であるが演練は何処で行うつもりなのだろうか。普通に考えると大御所どころでない人数なのだが。
「ま、いっか。」
別に何がなんでも知らなきゃならんことじゃない。
彼岸花は、目の前にそびえ立つ螺旋階段を見た。
この階段の先まではまだ、行ったことがない。
全部の階に行けるらしいのだが、さて、何処へ行くべきか。
「そもそも、誰と話す…………………………トップを狙うか」
彼岸花が刀らしく敵の大将を狙おうとしていたまさにその時、
「困りますねぇ。トップは忙しいかた何ですよ。」
「!」
聞こえた声に、彼岸花は振り返った。
姿が見えない。何処だ?何処にいる。
彼岸花が辺りを見回していると、声は再びそこに響いた。
「上ですよ。階段を上がってきてください。尚、逃げた場合は………不法侵入者として対応させていただきます」
「その理論で行くと、あんたは不審者だ」
言いながらも彼岸花は階段を上がっていく。
一階へと続く扉を通りすぎ、さらにくるくる上っていると三階に続く扉の前でそいつは待っていた。
………第一印象は、胡散臭い奴、といった感じであった。
「どうも。こんにちは」
「どうも。おい、てめぇ変なことしたらただじゃおかねぇからな」
彼岸花は拳を掲げて脅すように言った。
男は笑って一言。
「刀らしく血生臭い人だ。」
「………」
女である………しかも変装した彼岸花を真っ先に刀剣であると見抜いた。
思った以上に頭は回るやつなのかも。
だが、
「……………刀らしく、わざわざ付け加えたのは、貴方が知っているからですか」
「知っているとは、何を?」
顔色一つ変えずに男は聞き返した。
彼岸花はため息をついて、面倒なそいつを見る。
「知ってるんでしょう………私がーーーーー。」
男はにっこりと笑った。
「えぇ、知っていますよ。恵さんの刀剣、彼岸花」
彼岸花は男をにらんだ。
「貴方が知りたいことを、私は確かに知っている。ついてきてください」
男は三階に続く扉を開けて、その先に消えていった。
彼岸花は罠かどうかを考えて、罠でも飛び込むと結論を下した。