• テキストサイズ

〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第8章 第七章 饅頭ならばつぶ餡派、咲くのなら花の下


「?そりゃ、好意はあるでしょうよ」
彼岸花があっさり答えると、歌仙の手が一瞬止まった。
「君、自分が何を言ったのか解っているのかい」
「解ってますよ。嫌いなわけがない、そういうことです。」
彼岸花は少し目を伏せて続けた。
「そりゃあ、最初はいい人とは思いませんでしたけど、今は好きですよ。歌仙さんも、他の皆も」
これはここに来て見つけた答えのひとつ。彼岸花が、いつ振り返っても良かったと思える感情。心。
「出会えてよかった。心から、私はそう思っています」
彼岸花の言葉に、歌仙の手が少し揺れて……………再び動き出したとき、歌仙は小さく言った。
「僕もだよ」

小娘が屋敷を出たのを確認して、彼岸花は残った面々に敬礼した。
「じゃ、朗報を待っていてください」
結局敬礼を仕返してくれたのは一部短刀と獅子王、鳴狐だけであったが、彼岸花はにっこりと黒子の下で笑った。
政府の場所は解っている。時空を越えるので少し複雑ではあるが、いけないことはなかった。
彼岸花は息を吸って、最後に足元のこんのすけを撫でて門に飛び込んだ。
水面に飛び込んだときの様な浮遊感と不自由さを一瞬感じる。
けれど、それも慣れてしまえばどうということはない。元々この体はそういったことに強いのだ。
走って、政府を目指す。

暫く、といっても通常の時間軸とは別の空間を越えていたのでそれが正しい表現かどうか定かではないが、体感的に暫くの時間が過ぎて彼岸花は政府に辿り着いた。
(そんなに離れてなかったのにな)
今や懐かしいと思っている自分がいる。
それくらい、沢山の事があった。
「……………」
感傷に浸る時間はない。急ごう。
政府の入り口付近で人だかりが出来ていた。
審神者と刀剣達だ。
恐らくあの中に小娘達もいるのだろうが、わざわざ見つける必要もない。
(一期さん、みっちゃん。頑張ってね)
今日はまだ一度もあっていない二人に、内心エールを送って彼岸花は特殊な入り口………森へと入っていった。
森の奥にある入り口は、政府の地下にある倉庫へと続いている。
この入り口は昔、彼岸花が政府で遊び回っていた時に見つけたものだ。
地面についた扉を特殊なパスワードで開けて、彼岸花は中へと降りていった。
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp