第8章 第七章 饅頭ならばつぶ餡派、咲くのなら花の下
彼岸花の発言に無意味に部屋へと集まってきていた刀剣達が此方を見る。
現在地彼岸花の部屋。
今日無意味に集まっているのは、獅子王、燭台切、燭台切に連れられた大倶利伽羅。それから薬研薬研を筆頭とした粟田口数名に、兄者こと髭切、そしてその弟の膝丸。
その他、歌仙、一期は出陣。残りはそれぞれ自由に過ごしている。
初期に比べて随分と大御所になったが、見方は多いにこしたことはない。
彼岸花の話に真っ先に突っかかってきたのは膝丸だった。
「政府に侵入?何を馬鹿なことを………そんなことになんの意味がある。」
「意味を求めて人は冒険などできないのだよ。VISA丸」
「ひざまる、だ!」
「構わんじゃないすか。VISAはいいぞ。VISAカード」
「もやは丸すらなしか!」
「三井住友丸」
「誰だ!?」
膝丸と言い合う彼岸花。
我々の因縁は数日前まで………というか、昨日に遡る。
『やぁ、僕の弟を連れてきたよ』
『あ、弟さん?へぇ、似てるような似てないような………』
『膝丸だ。おい、女』
『なんだね。』
『兄者は俺の兄者なのだからな!お前には渡さん!』
『そりゃ、貴方のお兄さんでしょう。私の兄な訳がねぇ』『そういう意味じゃない!!』
上記のようなやり取りの後、彼岸花と膝丸の間にはベルリン級の壁が誕生した。
彼岸花は崩してもよいと思っているのだが、如何せん相手の意思が固く鬱陶しい。性格は全くもって兄弟バラバラなのであった。
「取り敢えず、政府には色々と聞かなくちゃならん事があるのさ。で!今が最高のチャンスというわけ!行くしかない!」
「普通にバレるんじゃないかな。」
「俺も無理があると思うぜ。少ないとはいえ、あんたの顔を知っている人もいるんだ」
燭台切、薬研と言われるが彼岸花の意思は固い。
「それでも、政府がここを尋ねてくるのを待ったり、平日に政府へと乗り込むよりはましだよ。」
「それはただの比較だろ。どっちがまし、なんて聞けば確かに決まってるけどさ、そもそもの案が無茶だ」
獅子王が言うことは最もである。
彼岸花は、そこまで政府に行きたがる肝心を話していない。
「だけどね、無茶の分だけ得られるものはあるはずだ。」
「例えば?」
「………審神者の過去、とか」
彼岸花は獅子王に向けて笑った。