第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい
「本物、というのは幽霊のことかい?おかしいね、さっきはそれほど君の回りに居なかったんだけど」
「これは、普段私の回りにいることを怖がればいいのかな、それとも二人に見えていない何かを見たことを怖がればいいのかな」
やめてくれ。本当に怖い。
彼岸花は何だが、無性に駄洒落が聞きたい気分だ。トリビアではあるが、幽霊は駄洒落や下ネタを嫌うらしい。あと、ファブリーズか。
その情報の信憑性はともかく、幽霊がいなくなったことで今剣も普通にしている。
彼岸花は、ほっとしてそれから頭を押さえた。
「どうしたの?もしかして、痛い?」
燭台切の心配に彼岸花は首を振って、大丈夫だと微笑んだ。
「そう?あ、さっきの舞。凄かったよ、綺麗だった」
「綺麗………綺麗は嬉しくないなぁ」
「女の子なのに?」
聞き返されると苦しいものがあるが、事実として嬉しくないので彼岸花は頷いた。
「綺麗が嫌なら、格好いいはいいかな。」
「そうだね。その方が嬉しい」
「そっか、なら格好よかったよ」
燭台切の言葉に彼岸花は微笑んだ。
「ありがとう」
新たに増えた助っ人も加わって、加州清光探しは随分と進んだ。
そして、彼岸花達は現在新たな壁にぶち当たっているところである。
「ね、ねぇ。君、絵面が最高にまずいよ」
「喋るんじゃない!音が聞こえないだろう!」
彼岸花は喋った燭台切に対して怒鳴りながら続けて壁こと、鉄製の扉に耳を当てる。
当てて聞こえるのは微かな切り替わる音。それすなわち扉につけられたダイヤルロックの音である。
「本当にそれで開くのか?」
岩融の質問に対しては「もうまんたい」であると答えておこう。大丈夫だ。問題ない。
「前にこうやって開ける人を見たんだ。大丈夫だよ」
「いや、それは専門家の話だろう。君は全くもっての素人であって、適当なことをすればその文取り返しのつかないことになるんじゃないか……………って、聞いてないな」
歌仙の呟きが聞こえるが、それを無視して彼岸花は扉の向こうの音に耳を傾けた。
カチカチとダイヤルが回るたびに音が聞こえる。彼岸花はそれを必死に正解へと結びつけようとした。
彼岸花達がこのダイヤル式の扉を発見したのは、最後の部屋でだった。
前に聞いた話によると四部屋で終わり、との事だったのに扉がまだ続いていたのだ。