第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい
理由の解らない恨みじゃあなかった。
彼等が、過去に小娘によって捨てられた物であるのなら、今ここにいる刀剣はさぞ憎いことであろう。それが自分達を消そうとするものに向かっても理解はできる。
彼岸花は必死に理屈を並べて恐怖を拭おうとした。
舞はもう終わり。
残酷だろうが、至福であろうが、奴等は消える。
『っ、お前も俺達と何一つ変わりやしないのに』
最後に聞こえた言葉。
「っ」
目を開けても、そこには誰もいなかった。
彼岸花は、その言葉に何かとんでもない思い違いの切り口をみつけて、立ち尽くした。
『一度だけでいい。桜の花が見れれば、それで………』
「それで………?」
彼岸花は、その時、気がついたのだ。そして、思い出したのだ。
(あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!)
何を?そりゃあ………
「…………………あぁ、そうか」
………自らがここにいる訳をだ。
気がつくと、随分と、頭が軽くなった。
何だが、ずっと何処かで引っ掛かっていたそれが解けたのだ。
答えを、知ったのだ。
「大丈夫かい?除霊は終わったよ」
「見事な腕前だった。君は、神剣の素質があるのかもしれないね」
「あれ?僕は神剣じゃないのに?」
「君の場合はあれがなければ解らなかったと、前に言っただろう」
「覚えてるよ。言ってみただけさ」
「君のそういう不真面目なところが………」
「あ、あのー?」
呆然と立ち尽くしていた彼岸花だが、流石に二人の話に割ってはいる他なかった。
「何となりで二人の世界つくってんすか。読者と共に私も置き去りだよ」
「「読者?」」
二人に聞かれた彼岸花は、上の野郎共を見上げる。
「あぁ、そうか。待たせていたんだったね」
「おーい、もう降りてきても大丈夫だよ」
青江の言葉で、まず獅子王がひらりと降りてくる。
「よっ、おお。本当に大丈夫だ」
「そりゃそうだ。というか、そういうの解るんだね。なんか、神様っぽい」
「お前もだろ」
「そうだった………というか、さっき本物見たよ目の前に現れた」
彼岸花は取り敢えず怖いのでそれだけを報告する。
すると、青江が僅かに目を見開いて驚いたような反応をする。