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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


「まぁ、ともかく障気の問題をどうにかしないといけないよ。」
石切丸の言葉に彼岸花はドンと自分の胸を叩いて見せた。
「それなら、任せてください。この間も相談したことを実行に移しましょう」

「一体何を始めるの?」
部屋の上から此方を覗く燭台切の質問に、彼岸花は「まぁ、見てなさい」と返す。
彼岸花は申し訳程度の扇子を取り出して構えた。
「始めますよ!ドドリアさん、ザーボンさん!!」
「僕はにっかり青江だよ。」
「石切丸という」
噛み合わないネタの解らない会話を聞き流して、彼岸花は背後の二人の指事道理に動く。
……………見ていた獅子王、歌仙、燭台切、一期、鳴狐は始まったそれに驚いた。
「成る程、舞を使った除霊か………」
歌仙がここ最近では珍しく瞳を輝かせて彼岸花の動きに見いる。
ただ、同時に歌仙の目は失敗を許さない厳しさも含まれていたので、獅子王と燭台切は内心同じことを思った。
((失敗したら、万死だ))
先程までの観客気分が少しだけ引き締まった。
……………だが、そんな獅子王達の失敗をよそに彼岸花の舞はなかなか上手いものであった。
単純な動き自体は当然、素人が少し練習した程度ではあるのだが、その顔つきや指先の動きは見事だった。
あー、見た目は美人なんだな。なんて事を真面目に思う程度には、獅子王も己の彼岸花に対する評価を改めた。何だかんだ、可愛いとは思っていたが言動で結構台無しにされていたっぽい。
真面目にやっていれば、本当に。綺麗だ。
除霊の成功不成功自体は、一応これでも付喪神なので解る。除霊は順調だった。
何となく空気が軽くなって、息苦しさが消えていく。

彼岸花は、最後の仕上げにかかっていた。
体をゆっくりと右に向かせて、目を開ける。
「!」
開けて、ぎょっとした。それは、目の前に子供のような人影が立っていたからである。
(ゆ、ゆう………本物)
人影はふと気付いてみれば、一人じゃない。
何人どころか、そこら中に立っていた。
大小様々な影が此方を見ているのを理解すると、思わず唾を飲み込んだ。
本怖(本とうにあった怖い話)なんて目じゃない。何かの悪意と殺意を感じた。
感じると、次は声が聞こえてくる。
『卑怯者』『ずるい』『どうして、お前だけ』『死にたくない』
悪意は、ただ彼岸花に向けられていた。
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