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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


だが、まぁ、これでひとまず………
(終わったかな)
彼岸花は何処か夢のように思った。
あまりにも怒濤の勢いで事が運ぶので、
少し驚いてもいたし、また自分達で何とかなったということにも実感が持てなかった。
「勝ったんですよね」
何となく亜種を見ながら確認すると、
「うむ。恐らくな」
なんて、岩融から返事が返ってきた。
彼岸花は息をゆっくり吐き出して、拳を握る。
少し震えてきたが、大丈夫。これは、勝利の震えだ。
前田と平野が頃合いを見て駆けてくる。
「やりましたね!」
前田が言った。
彼岸花は苦笑しながら、頷く。
これにて一件落着……………………と、思っただろう。彼岸花達も、そのつもりであった。
だが、まだここからだ。
彼岸花はグッと背伸びをすると、まだ呑気に空を見上げていた。

もしも本当に、通信機が壊れていた場合困るので、前田と平野にもついてきてもらいながら二人は山を登っていた。
崖の反対側まで回るのはしんどかったが、それをようやく実感してきた勝利の喜びで誤魔化す。
しかし、直後彼岸花はゾワリと這い上がってくる悪寒に刀を抜いた。
「何だ?この感じ………」
彼岸花がそわそわしながら他の三人の顔を伺うと、三人とも揃って酷い顔をしている。ただの歴史修正主義者がいる顔じゃない。もっと何か、別の存在を関知している顔だ。
「これは………まさか」
平野が半ば放心しながら呟いた。
彼岸花は、岩融の顔を見上げた。
「岩融さん、これは何がいるんですか?」
聞くと、暫くして岩融は口を開いた。
彼の口から出てきた言葉は一言。
「検非違使だ」
彼岸花は、聞き慣れない言葉に眉を寄せる。
気配がするのはまたまた頂上付近。
もし、逃げていないのなら彼岸花達の仲間である髭切達も上にいるはずだ。
考えると、まさかと言いたくなってしまうような最悪だ。
「………岩融さんはここで待っていてください。」
彼岸花は言った。
「貴様は馬鹿か。そんなことはできん」
岩融は瞬時にそれを否定すると、折れた足を引きずって歩き出す。
「………」
彼岸花は彼を止める手段を考えた。
考えて、考える自分を愚かにも思った。
「なら、死なないでくださいね」
小走りで横に並び、そう釘を刺す。
「わかっておる」
岩融の返事は、それだけだった。
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