第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい
「はっきりしないね。」
案の定燭台切に指摘されてしまうが、彼岸花としても「実は君達になり損ねた奴に会いました」、なんて言えるわけがない。
「まぁ、深くは聞きなさんな。」
彼岸花がそう言った時、歌仙がわざとらしく咳払いをした。
「なんだい雅じゃないね」
「別に咳は雅に関係ないよ、寧ろ咳を唄うことすらあるんだ。適当なことを言って真似をしないでくれ」
「す、すみませんでした」
ふざけてみたら真面目な説教が始まったので、彼岸花は謝罪を口にするしかなかった。
「それより、実は君に話さないといけないことがあるんだ。」
「なんすか?」
彼岸花が聞き返すと、歌仙は真面目な顔のまま皆と顔を会わせた。
(なんだ、皆は知っていることなのか)
少し寂しいじゃないか。なんて、ふざけて思いつつ彼岸花は歌仙の言葉を待った。
「先程、こんのすけから言われたんだが明日の出陣、君も含まれている」
「ふーん」
「か、軽い。」
燭台切が突っ込む程度には、彼岸花の答えも口調も軽かった。
「あ、待てよ。メンバーによっては興味あるかも。誰と一緒?」
出陣自体には興味ないのか。誰もが思ったが、口にはしなかった。
「いや、流石に誰と一緒までは覚えていないな。この中には……………居ないみたいだが」
歌仙が確認するが、この部屋の面子は違うらしい。
「待てよ、骨喰兄が一緒だったはず。なぁ、一兄」
薬研が言った。
「あぁ、確かに一緒のはず」
一期が頷いて、獅子王が口を開いた。
「確か、岩融と今剣も一緒だぜ。今剣も居なかったからこんのすけが探し回ってた」
「え、今剣君も一緒なのか………大丈夫かな」
先程倒れた今剣を思い出して彼岸花は眉を下げた。
話す機会が早く訪れた事は嬉しいが、怪我をされては嫌だ。
「あと、蛍丸殿も一緒の筈ですぞ」
お供が教えてくれる。
「蛍…………あぁ、愛染君が言ってた子か。強いって噂の」
「まぁ確かに、彼は強いよね。あと、僕が覚えているのは髭切さんも一緒って事なら」
燭台切が付け加えた情報で全ては揃った。
「成る程、私に骨喰さんに今剣君に岩融さん?に、蛍丸君に、髭切さん?か。知らない人が二人もいるけど、何とかなりそうかな?因みに隊長は」
「髭切さんだよ」
「成る程、成る程。うん、教えてくれてありがとう」
彼岸花は皆に礼をのべた。