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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


「落ち着いたかい?」
青江が石切丸に尋ねる。
「……………あぁ。寝たようだ」
彼岸花は石切丸が怒っているのかとも思ったが、彼の表情を見る限りそうではなさそうだ。
彼岸花がホッとしたのもつかの間、辺りにクスクスと笑う声が響いた。
「「「…………………」」」
三人で無言のまま耳をすませる。
笑い声は一つじゃなかった。少なくとも何十人もの声だ。
「……………悪趣味だね。何がそんなにおかしいんだい?」
青江が尋ねるが、笑い声はおさまらなかった。
「いい加減にしてもらえるかな。僕らも、仲間が笑われているのに黙っていられるたちじゃないんだ」
石切丸が今剣を抱え直して本体に手をかける。
彼岸花は二人が一貫して見ている方を見た。………だが、そこには空虚な闇が広がっているだけだった。
石切丸に一言脅されてもなお、笑い声は続いていた。
「……………………………………」
その時、ふと彼岸花は気が付いた。
そういえば、ここにいるのは確か彼等になり損ねた外道だったか。
「………………そんなに面白い?自分達の間抜けさが」
彼岸花は言った。
「誰かの不幸がおかしい?誰かが傷ついているのを見て自分が偉くなったような気分?………鬱陶しいんだよ、くず。心を持ってなお、そんなことしか出来ないのなら、さっさと消えろ。」
顔だけを闇へと向けて、彼岸花は口を開いた。
「自身を正当化して、何かから逃げているつもりか。辛いことから逃げるばかりじゃ、何も変わらないんだよ。苦しみたいだけなら、他所でやって」
笑い声はおさまらない。彼岸花は無視して踵を返した。
青江と石切丸に顔を向けると、二人も歩き出して屋敷を共に目指した。

「彼等は………本当にあのままなのかな」
「……………わからない。だけど、彼等を縛っているのはあの刀達(僕達)だ。あれをどうにかできないことには………」
「どうしようもないか。」
彼岸花は首を振って、考える。何か、彼等を解放するすべを。
「……………………………待てよ。私は霊力が使えるじゃないか」
ハッとした。気が付いた。
「………でも、霊力が使えても主のじゃなければ意味がな………」
「いや、だけどものは試しだよ。…………一つ、お願いしたい事があるんだけどいいかな?」
やってみないと始まらない。それを合言葉に、彼岸花は笑った。
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