第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい
「和泉守、って短刀?」
「いや、僕と同じ打刀だよ。」
「……………現実は残酷だなぁ。まぁ、今剣君も確かに、結構迫力あったし。言われてみれば、歳上っぽいよね」
彼岸花は妙に上から目線の今剣を思い出しつつ、頷いた。
「それで、話を戻すけど、今剣君はどうするつもりなのかな」
「さぁ?何か、秘策位はあるんじゃないかい?」
「そうなのかな。まぁ、少し気にかけるようにはするか」
彼岸花がいい終えると同時に、襖に影が浮かんだ。
「ーーーじかんですよ。にわにいますから、はやくきてください」
「わかった。直ぐに行く」
襖の影が居なくなったのを見て、彼岸花は二人に向き合った。
「じゃ、行ってくる。取り敢えず、二人は適当な時間で帰りなよ」
「……………」
彼岸花が別れを告げると、二人は黙ったままだった。
「「いってらっしゃい」」
彼岸花が文句を言おうとした瞬間、声を揃えて聞こえてきた言葉。
「………………………!」
それに彼岸花が目を丸くすると、二人はそれぞれよく似合う顔で笑ってくれた。
「……………ありがとう。いってきます」
彼岸花も最高の笑顔を浮かべて、襖を開けた。
裏話
「…………………………可愛い」
「…………………………えっ、正気かい?」
「嫌々、普通の感性だろ。歌仙は、何とも思わないのか?」
「僕は、別にそんなこと気にならないよ。第一、今の僕らがそんな感情を女人に抱いてどうなるんだい」
「……………だけどさ、あいつに協力するって決めた以上、卑屈なままでいんのも駄目だろ」
「………でも、僕らは………少なくとも僕は、汚な過ぎる。主に従うままに汚れすぎた」
「……………なぁ、歌仙。そこまで、自分を追い詰めないと駄目なのか?汚れてたって、出来ることもやることも有るだろ。それに、誰かを好ましいと思うことは悪いことなんかじゃねーよ。嫌い、ってよりずっといいだろ」
「……………そうかもしれないね。嫌い、よりはずっといい、か。君は前向きだ」
「うーん、あいつ見てるとそうしなきゃなー、って思うんだよ。」
「………………………まぁ、同意する」
「そうか。…………………で、結局歌仙はどう思ってるんだ?」
「えっ」
「ん?」
「………………………………………………ま、まだ出会って一ヶ月もたってないだろう」
「………まぁな」