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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


五虎退に、話を聞かせながら歩く。
「所で、あれから一期さんとは上手くいってる?」
彼岸花が尋ねると五虎退はしっかりと頷いた。
「そっか。なら、良かった」
「一兄、ちゃんと思い出そうとしてるんです。えっと、あの、彼岸花さんの事」
「え、そんなんや。別に気にしなくていいのに。」
これは彼岸花の本音である。
忘れていることは確かに、良いことではない。だが、だからといってわざわざ、自分のことを思い出してください、というのも変だ。
(それにいい思いでじゃないからなぁ)
個人的にはタイマンしたところなんかは忘れてほしいのだが。
彼岸花は複雑な思いを持ちつつ、五虎退の話を聞くのであった。

屋敷に帰ると、彼岸花は五虎退と別れて自室………自室に戻った。
彼岸花が自室として使っている部屋に入ると、目の前に人がいた。
「うおっ!え、あ、一期さんか」
思わぬ不意打ちに驚きつつ、取り敢えず知り合いであることに安堵する。
「お待ちしておりました。少しだけ、時間を貰えますか?」
一期の問いかけに彼岸花は頷いて、少しだけ距離をとり座った。
「さっき丁度、一期さんの話をしてたんだよ。」
「おや、そうだったのですか。」
「あ、悪口じゃないよ。相手は五虎退君だし」
彼岸花は笑いながら話した。
「そうですか。五虎退はなんと」
「ん?いいお兄さんだって」
彼岸花が当たらずしも遠からずな事を言えば、一期が少し困ったように、しかし柔らかく笑った。
「………五虎退が。嬉しい事ですな」
「そうだね。君は弟さん達に本当に慕われてるよ」
「………私は、そんなに出来た心など持ってはいないのですが。」
「……………いいんじゃない、それでも。弟さん達が求めてるのは出来た兄じゃなくて、優しい兄なんだから。貴方は十分それを満たしているよ」
彼岸花はそう言うと、一期に笑いかける。
それを聞くと、一期は少しだけ安心したような顔に変わった。
「そうですな。私も、弟達に求めているのはそういうものでした。こんなに大切な事を忘れていたなんて………」
「まぁ、思い出せたなら万事解決でしょ。それで、何を話にきたの?」
「あぁ、そうでした。実は、改めて礼を言いに」
てっきり何か難しい話が始まると思っていた彼岸花は目を丸くする。
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