第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい
「しりません。だから、さがしてるんです」
「ですよね」
あっさりと希望は絶たれてしまった。
ただ同時に得られたことも幾つか。
一つ目は、取り敢えず、彼等はこの辺りを既に調べているようなので、この辺りは調べなくてもいいということ。
二つ目は、加州は本当に逃げたわけじゃないということ。
この二つが解っただけで大分進展するものがあった。
あとは、その加州を見つけられれば最高なのだが、どうなるだろうか。
「探す事についてはもちろん協力するよ。だけど、あの中から見つけるのって大変じゃない?」
「え………」
「え、って。何か見つける手立てでもあるんすか?」
「い、いや!そうじゃなくって………いいんですか?ぼくらは、少なくともぼくはひどいことをたくさんしたのに」
「えっ。ひどいこと、した?つけまわしてただけじゃない?」
(中には殺そうとしてきた奴もいたわけだし。それに比べればね………)
粟田口兄とか歌仙とか粟田口兄とかを思い出して彼岸花は一瞬、空しくなった。
彼岸花は一人納得したが、今剣は納得していないようだった。
「まぁ、取り敢えずそれよか、やっぱりあの中から見つけるんだよね。大変そうだなぁ」
「地下空間は本来五部屋程あるから、君が思ってるよりずっと大変だろうね」
青江が言う。
「マジかよっ!広すぎんよー。」
あと、加州清光もきっとたくさんあるよ。
彼岸花は予想以上に大変そうな事案に息を吐いた。
「……………………………引き受けた身だからもう止めないけど、何で私?」
これもまた気になっていた事である。
協力することは別に構わない。構わないが、彼岸花が選ばれた意味が解らない。
何から何まで別に彼岸花は彼等と繋がり一つ無いのだから。
「……………実はね、彼処も前に調べようとしたことはあるんだ。」
石切丸が言った。
「だけど、あの中は予想以上に邪気が酷くてね。僕ら二人でもきついくらいだから、普通の刀じゃ入れないんだ。」
「で、も。そんな中から君は無事に出てきた。だから、手伝って欲しいと思ったんだ。」
石切丸、青江と、続いて話す。
「………………成る程。うん。なら、いついく?」
彼岸花が、尋ねると今剣が「きょうのよるいきましょう」といった。
彼岸花はそれを了承して、こうして彼岸花達の幽霊探しが始まったのである。