第3章 第二章 変化を求める、カメレオン
「これ、取れないのかな。あれだ、神刀の人達も居るんでしょう?」
何時までも考えてちゃられないと、こんのすけにダメ元で尋ねてみる。
「はい。いらっしゃいます。ですが、刀剣男子は審神者様の霊力にて具現化されましたので…………」
「成る程、奴の霊力には勝てないと」
やっぱり無理か。彼岸花はそう言って頷いたが、こんのすけは首を振った。
「そう、簡単な問題ではないのです」
「………と、いうと」
「刀剣の皆様は………彼岸花様も含めて、審神者様と契約を結んでおります。」
「ふむ。それで?」
「主従の関係を結ぶ間において、上は絶対です。主に攻撃をすることは、かなわない。」
聞いて納得。なーる。つまり、さっき座敷にて彼岸花の拳が当たらなかったのはそういう訳なのだ。
術や小細工以前の問題。
下克上はなされない。
「何だそれ………絶望じゃねーか」
「申し訳ありません」
「………………いや、君が悪いんじゃないよ。大方、君は破ると消されてしまうのでしょう。」
「管狐の分際で、死を恐れるのは馬鹿げていると思います。ですが…………」
俯くこんのすけ。
震える声に、彼も今まで耐えてきたのだと彼岸花は自分の浅はかさを恥じた。
「いいや。馬鹿じゃないよ。誰だっておんなじだよ。死ぬのは怖いさ。人も、刀剣も、管狐も。誰も。…………それでいいんだ。死んでもいいなんて思いながら生きるのなんて、ただのうつけだよ。」
「はい…………」
こんのすけが俯いた先の床に、ひとつふたつと染みが出来る。
こんのすけの頭を撫でて、彼岸花はもう1つの決意をした。
「考えようよ。この現状を殺せるすべを。一緒に」
「え………?」
「折角巡りあってここに来たんだもんね。女は度胸、管狐は愛嬌!一緒にさ、いつか皆でお花見にでも行けるくらい、この本丸に平和をもたらそうよ」
「……………お花見。良いですね、お稲荷は出るでしょうか」
「もちろん!何なら、私が作ろうじゃないか!任せときなさい!!」
彼岸花がニヤリと笑えば、こんのすけも顔をあげて微笑んだ。
ここが例えば、トンネルの入り口だとして、まだまだ先が長いとしても、反対側に出口がないとしても………どうにかしよう。
全ては、いつかのために。
1つの約束が交わされた。
その内容を知っているものはまだ、二人だが、何時かそれが増えればいいと思う。